どもども、ウィークエンダー殿井です。今週末の12月1日は元祖“映画の日”なんだけど、『シヴァージ』以外にもウチ的注目作品がいくつか初日を迎えるよね。
まぁ『007 スカイ・フォール』(12)はあちこちで取り上げられるだろうし、個人的に未見なので省略して、ホラーもの的最注目作品は『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(12)。
ハリポタのダニエル・ラドクリフが大人の役で主演のホラー…というのが一般的な掴みだろうけど、かつて“ハヤカワ・モダンホラー・セレクション”の一冊として刊行(映画公開にあわせてハヤカワ文庫より復刊)されたスーザン・ヒル原作の『黒衣の女 ある亡霊の物語』を、近年復活を遂げた英国製怪奇映画の牙城“ハマー・プロ”が映像化、『バイオレンス・レイク』で注目された新鋭ジェームズ・ワトキンスが監督と、まさにホラー・ファンとしては見逃すべからずな一本だ。
ボクはまだ字幕の無い輸入盤ソフトでしか鑑賞してないので詳述は控えるが、どんよりとした空模様、沼地に建つ古びた洋館と、まさに幽霊屋敷のメッカ(笑)英国らしい画作りが素晴らしく、ショッキングなオープニング等枝葉は変えてあっても原作に通じる厭ぁ?な展開が堪能できる。ボクも1日に、あらためて字幕版で観て来るつもり。
映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』予告編
で今回の本題は、同じく1日公開のエイリアン侵略SF『ダーケストアワー 消滅』(11)だ。
『ダーケストアワー 消滅』
THE DARKEST HOUR
2011年/アメリカ/90min
配給:エスピーオー
2012年12月1日(土)よりシネマート六本木・新宿にて、ロードショー、シネマート心斎橋ほか全国順次公開!
公式サイト:http://video.foxjapan.com/movies/darkesthour/
自分達で開発したSNSを売り込むべく、アメリカからモスクワにやってきたショーンとベン。ところが二人のパートナーのスカイラーに出し抜かれ、彼らは契約から締め出されてしまう。
苦りきりながらも、憂さ晴らしに市内のクラブにくり出した二人は、そこでアメリカから観光に来ていた二人の女性、ナタリーとアンと知り合い、ご機嫌な一時を満喫…できたと思ったのも束の間、クラブは突然停電に見舞われる。
状況を把握するために外に出たショーンたちは、黄色に輝く無数の光球が、禍々しいオーロラの如く夜空を埋め尽くしているのを目撃する。やがて地上に達した光球からは、様子を伺う群集に向けて触手状の光が延び出し、絡めとった人間を粉砕消散させてしまったのだ。
阿鼻叫喚のパニック状態の中、ショーンたちは二人の女の子と、たまたま店に居合わせたスカイラーと共に、間一髪でクラブのバックヤードに逃げ込み難を逃れる。数日が経ち、バックヤードの食料もつきたため、外に出ざるをえなくなった5人が見たものは、エイリアンの侵略で無人の廃墟と化したモスクワの街並みであった。5人は他の生存者の存在を信じ、モスクワ市内を進むのだが、そんな彼らに光球が迫り…
エイリアンの襲来目的をはじめ、まだこんなことやってるですか…的なツッコミどころも満載だし、後半の都合のよすぎる展開も微苦笑ものだったりもするわけだが、敵中突破に絞ったお話自体はそんなB級侵略SFのまさに王道ノリが楽しい一本。同時にシンプルなお話を彩るビジュアル・イメージの数々は、野田昌宏元帥の名言「SFは絵だね」を思い出させる。
姿なきエイリアンの人間粉砕描写は、オリジナル『宇宙戦争』でマーシャンズ・ウォーマシンの光線で消される人間の21世紀進化系といったイメージだが、光の触手にからめとられ粉砕されるまでの一瞬の間がアクセントとなって印象的。
エイリアンは獲物が発する生体電磁エネルギーで獲物を察知する特性を持っており、無人と化し闇に閉ざされた街路を獲物を求めて光球が進む姿も幻想的で美しい。また一応後半では、透明化されていたその正体も見せてくれるので、クリーチャー趣味の方はお見逃しなく。
そして無人の廃墟と化したモスクワ市街の風景の、荒涼とした美しさも忘れ難い。風に巻き上げられ街路を覆う白い灰=人間の残滓が、一見静かだが圧倒的なカタストロフを見せつけてくれるのだ。
キャスト陣は、ショーン役に『スピード・レーサー』(08)の毛唐版三船剛ことエミール・ハーシュ
その相方ベン役に『ソーシャル・ネットワーク』(10)のマックス・ミンゲラ
綺麗どころのナタリー役は年明け公開となるリメイク版『ジャッジ・ドレッド』(12)にも出ているオリヴィア・サールビー
アン役には『新チャーリーズ・エンジェル』(11)ではエンジェルの一人アビーに扮しているレイチェル・テイラー、いけ好かない色男(笑)スカイラー役には来年公開予定のリメイク版『RoboCop』(13)でタイトル・ロールに抜擢されたジョエル・キナマンと、フレッシュ・キャストが顔を揃え、そのフレッシュさ故に観る者が死亡フラグを立て難いのもポイントだ。
原案・脚本は『プロメテウス』(12)のジョン・スペイツ。監督は『ブレイド3』(04)等の美術畑出身で、日本ではDVDリリースされた『クライシス』(06)で監督デビューを果たしたクリス・ゴラックで本作が監督第2作目となる。『クライシス』は細菌爆弾テロでパニック状態になったLAを描いた小粒ながらもスリリング作品だったが、その前作とも共通する黙示録的なテイストや、美術出身故のビジュアル・センスが本作には活きている。
『クライシス』予告篇
そして製作は、ロシア出身でコーマン御大とのコラボで『ザ・グラディエーター? ローマ帝国への逆襲』(01)等を監督後、自国で監督したホラー・テイストの濃いアクション・ファンタジー『ナイト・ウォッチ』(04)&『デイ・ウォッチ』(06)が世界的なブロック・バスター・ヒット作となったティムール・ベクマンベトフ。
『ザ・グラディエーター? ローマ帝国への逆襲』予告編
『ナイト・ウォッチ』予告編
『デイ・ウォッチ』予告編
その後もハリウッドで『ウォンテッド』(08)や『リンカーン 秘密の書』(12)等のメガ・ヒット作の監督を任され、『9<ナイン> ?9番目の奇妙な人形? 』(09)や『アポロ18』(11)等でプロデュース業にも乗り出しているベクマンベトフが、故郷ロシアを舞台に(撮影はロシアとドイツ)故郷に錦を飾った作品ともいえそうで、『ナイト・ウォッチ』でも組んだワレーリー・ヴィクトロフがプロダクション・デザインを担当するなど、多くのロシア人スタッフが参加している。
『ウォンテッド』予告編
『リンカーン 秘密の書』予告篇
しかしまぁ、錦を飾る作品でモスクワを廃墟にせずにはいられないんだから、ジャンル系の映画人は業が深いよな(笑)。
『ダーケストアワー 消滅』予告編
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