雨の日の夜になると、理佳は同じ悪夢に悩まされていた。
降り注ぐ雨の中踏切が開くのを待つ少女の前に現れたぐしょ濡れの黒衣の女が、踏み切りに入り男の子を抱きかかえたまま電車に轢かれてしまう。
恋人の隆との煮え切らない関係に陰鬱な想いを募らせていく理佳が、繰り返される悪夢と怪異の末にたどりつく哀しく恐ろしい真相は…
清水崇監督の劇場用としては6年ぶりとなるJホラー作品『雨女』が、6月4日よりユナイテッド・シネマ豊洲他全国の4DXシアターで公開される。
そうこれまでも、『戦慄迷宮3D』『ラビット・ホラー3D』ではデジタル3Dを、
『9次元からきた男』では3Dドーム映像と.
革新的な映像表現にチャレンジしてきた清水の新作は、映像にあわせて椅子が動き、風・雨・ミスト・香りetcといった五感を直撃する4DX作品で、新たな恐怖体験を味あわせてくれるのだ。
これまで4DXというとハリウッド・メジャーによる派手な見せ場を売り物にした大作に後付で効果を加えたものが多く、作品の大半に加えられた効果によって映画を観るというよりもアトラクやライド感覚を楽しむノリが強いものも多い。
そんな中で、『雨女』は企画段階より4DX専用作品として作られており、4DX専用劇場でしか上映しないし、今後ソフト化される予定も一切ない。
まさしく、4DXを味わうために作られた作品なのだ。
物語は、ヒロイン理佳の悪夢からはじまるが、悪夢の中と同様に次第に強まって行く雨と惨劇までの効果ですっかり作品の世界に入り込まれるだろう。
一方でこの効果は、後付の大作にありがちなように、ひたすら椅子が動き回って効果が持続する…なんてことはなく、ヒロインの陰鬱な気持ちと恐怖に寄り添うように緩急をもってつけられている。
ライドや驚きのための効果ではなく、あくまで恐怖感をより高めていくための効果となっているのが実にJホラーらしいのだ。
その一方でツボを押さえた形で、ストレートにショックを与えてくれるものも勿論盛り込まれているので、怖がりな方は特に●元に御用心(笑)。
主人公の理佳役は『少女は異世界で戦った』『東京無国籍少女』等ではハードなアクションを自らこなした清野菜名が、ホラー演技に初挑戦。陰鬱な不安に苛まれながら、恐怖に対峙して行く姿を熱演している。
なお本作の撮影は今年の2月のもっとも寒い時期に行われ、それは過酷な状況だったとのこと。
幸か不幸か、スタッフ・キャストに雨男・雨女はいなかったようで、厳寒の中普通の衣装のキャスト陣はスタッフが降らせた雨でぐしょ濡れになりながら、またクライマックスでは長時間水深5メートルのプールの中で演技に臨んだそうだ。
清水崇監督
「水中シーンでは、俳優陣はほ ぼ一日中水に浸かって、体力の限界を超えた撮影でした。
勿論温水を用意してたんですが、寒さと息継ぎと水圧に苦しめられ、とてもじゃないけどもたない。
清野菜名は身体能力にも長けていて、アクション物にも出ていますが、流石の彼女も限界を超えて最後の方は青い唇で震えながら「監督、寒いの通り越して気持ち 悪い…」って。
それをなだめ、励ましながら「ごめん、もうちょっとだから」と、僕も酷だなと思いながら撮りきりました。」
そんな清野らのギリギリの演技が、4DX効果と相俟った恐怖と悲しみの交錯するクライマックスは是非とも劇場で体感して欲しい。
なお、清水崇監督の4DXへの取り組み等についてうかがったインタビューを、7月刊行の『特撮ゼロ VOL05』に掲載する予定なのでしばしお待ちいただきたい。
最後にその予告として、清水監督からのメッセージをお届けしよう。
「後からソフト化は絶対しない予定で作っているので、劇場でしか観られないし、劇場でしか体感できない4DXというシステムありきで作ってます。
短編ですし、料金も通常の4DX作品の半分くらいなので観やすいと思います。
映画館でこその作品なので、是非これをきっかけに、ホラーが苦手な方も含め、「視聴」でなく「体験」に慣れ親しみ、楽しんでもらえたらと思います」
なお、『雨女』上映館のうちユナイテッド・シネマ豊洲は、前回こちらで紹介した同じく清水監督の3Dドーム作品『9次元からきた男』を上映中の日本科学未来館からもほど近いので、未見の方はそちらも併せて観に行くのもいいだろう。
どちらも、まさしく劇場でしか体験できない極上の、かつそれぞれ全く別の映像体験が味わえるのだから。
▼6.4(土)4DX®限定公開『雨女』予告編映像 - YouTube
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『雨女』
2016年/日本/35min/配給:ユナイテッド・シネマ
監督・脚本:清水崇
キャスト:清野菜名、?俊太郎、高橋ユウ、みやべほの、奈緒、田口トモロヲ
6月4日(土)から全国のユナイテッド・シネマ他にて4DX®限定公開!
(C)2016「雨女」製作委員会
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