どもども、殿井です。
いきなり告知ですが、先週末に東京流通センターで開催された文学フリマで、
映画評同人誌“Bootleg”最新号“ALONE”が発売されました。
結構ヘビィな特集テーマ「いじめ/マイノリティー」を、
レギュラー執筆人のご機嫌なコラムで一気に読ませてくれますぜ。
こっそり飛び入りで「いじめ/拷問ホラーを見る理由」なる対談頁にボクも参加してます。
近々新宿ビデオマーケットにて、独占店頭販売&通販がはじまるようなので、よろしかったら是非お買い求めください。
▼Bootleg Basic 販売ページ
(現在は最新1号前“Basic”及び表示頁からのリンクで2号前“Noir”を発売中です)
で、今回の本題は、明日11月23日(金・祝日)より封切られる
幻想要素も盛り込まれた心理・サスペンス・スリラー『ドリーム・ハウス』。
掟破りな展開が、未見の方には事前説明不可(の方が絶対楽しめる)な作品なので、
今回は多分いつもよりコンパクトよ(笑)
有能な編集者のウィルは、長年勤めてきた出版社を退職し、小説家への転進に踏み出した。
それは愛する家族ー美しい妻のリビー、そして
幼い二人の娘トリッシュとディディ−との生活を大切にするための決断であり、
ウィルはニューヨークの郊外に夢のマイ・ホームを購入する。
ところが幸せな新生活が幕を開けたと思えた直後から、不可解な出来事が家族にふりかかる。
何かが家の中を覗いていると怯える娘。
自宅の周囲をうろつく不審な男…
そしてウィルは、ある晩、地下室で町の子供たちが何かの儀式をしている現場を押さえ、
逃げ損なった一人の少女から、その家で以前殺人事件があったことを知る。
妻子が惨殺され、頭に銃撃を受けた夫が容疑者と目されたらしい。
ウィルは事情を知るらしい隣人のアンを尋ねるが、
アンは困惑した様子を隠さず、
また警察で事件について問い合わせても相手にしてもらえない。
それでも、愛する家族を守るために、事件の真相に迫ろうとするウィルは、やがて残酷な真実に直面し…
前回紹介の『ボディ・ハント』や、
マイケル・キートン、クリストファー・ロイドら芸達者な出演者共演のハートフル・コメディ
『ドリーム・チーム』(89)等を書いたデヴィッド・ルーカによるトリッキーな脚本を、
『マイ・レフトフット』(89)、『父の祈りを』(93)で二度のアカデミー監督賞、
そして『イン・アメリカ 三つの小さな願いごと』(03)で三度の脚本賞にノミネートされるなど、
ドラマ性の高い作品で定評のあるジム・シェリダンが初のジャンル系作品に挑んだもの。
それ故に、謎に翻弄されるキャラクター個々の内面描写やドラマはやはり見応えのあるものになっている。
状況により全く異なる様相を呈する“夢の家”の描写などにもこだわりが感じられ、
ジャンル・ファンにも満足の行くルックスが楽しめるだろう。
プロダクション・デザインは、
『クローネンバーグのファイヤーボール』(78)で美術監督として参加以降、
『ザ・ブルード 怒りのメタファー 』(79)から『危険なメソッド』(11)まで
デヴィッド・クローネンバーグ監督の主要作品を手がけているキャロル・スピアによるもの。
冬枯れたムード等に、クローネンバーグ作品と通じるものがある。
衣装デザインのデルフィーヌ・ホワイトも、
『ザ・ブルード〜』『スキャナーズ』(81)等でのクローネンバーグ・コラボ組だ。
また、大掛かりなVFXには頼らない照明効果等で、ムードの差異を際立たせた撮影は、
『リンカーン 秘密の書』(12)等のキャレブ・デシャネルが担当している。
キャスト陣もかなり豪華で、
主人公のウィルに、新作の公開が続き、6代目ジェームズ・ボンドとしての第3作
『007 スカイフォール』の公開も間近なダニエル・クレイグ。
颯爽としたよき家庭人が、あんなことに…と、状況によってのキャラの変化も見もの。
真相を知ってる風な訳アリ気隣人アンに『ザ・リング』(02)、『キング・コング』(05)等のナオミ・ワッツ。
そしてウィルの妻リビーには、
“ハムナプトラ”シリーズのヒロイン、エヴリン役で堂に入ったコメディエンヌぶりを披露しつつ、
コケティッシュな魅力でジャンル・ファンを虜にしたレイチェル・ワイズが扮している。
ジャンルを問わずに精力的な活動を続けるレイチェルだが、スクリーン・デビュー作としてカウントされている作品は、
『エイリアン2』(86)等の特殊効果アーティスト出身のスティーヴン・ノリントンが監督デビューを果たした
SFバトル・アクション『デスマシーン』(94)だ。
ヒロインの新任女CEOに、自社の秘密を囁くだけの数分間の出演だが、
多分重役の一人なのに眉にピアスも見目麗しい。
作品自体、デジタル特撮以降以前の、凶悪メカ・アクションがご機嫌な作品なので予告編を貼っておくけど、
勿論ここにはレイチェル嬢はでてこないよ(笑)。
最近では『ラブリーボーン』(09)や本作など、母親役が増えているレイチェル嬢だが、
華やかな美人さんぶりはますます健在で、
優しい母親、不安に怯える妻など本作でも様々な顔をみせつつ、その個々が実に魅力的だ。
なかでも本作では、見守る存在としての彼女が出色。
実際彼女が演じる役柄は、シェリダン監督の意向で次第に大きくなり、
当初脚本では登場していなかった場面にも彼女の出番が加えられ、
その多くがアドリブで演じられたそうだ。
そんなわけで、今回もまた個人的には特に女優の魅力を堪能した1本だ。
因みにレイチェル嬢の新作は、来年3月公開予定のサム・ライミ監督の
『オズ はじまりの戦い』で、三人の魔女の一人を演じている。こちらも公開が待ち遠しいね。
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『ドリームハウス』
DREAM HOUSE
2011年/アメリカ/92min
配給:ショウゲート
2012年11月23日(金・祝)より池袋シネマサンシャイン他、にて全国ロードショー!
(C)2011MORGAN CREEKALL RIGHTS RESERVED
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