どもども、お久しぶりの殿井です。
ネットで予告編を観て以来、気になって気になってしょうがなかった、
ジェニファー・リンチ(云わずと知れたデイヴィッドの娘)監督の蛇女映画“Hiss”が、
『スピーシー・オブ・コブラ』の邦題で先月(9月)にDVDリリースされました。
当然、本編初見なのにいきなり新譜購入した次第です。
でせっかくなので、今回は、それも含めて、
これまで連綿と?作られてきた“蛇女”映画の数々を一挙紹介だ!
まずは前編ということで、ハリウッド(欧米)&日本の作品から。
では行ってみよう!
?『スピーシー・オブ・コブラ』
原題の“Hiss”とは、オーディオでカセットテープ(そんなもの知らないって?困ったなぁ…笑)とかの
回転ノイズ(ヒス・ノイズ)とか、蛇とかのシューって音のこと。
(お話)
インドに古代から伝承される蛇の女神ナギン。
彼女は胎内に、不老不死の源となる宝石ナグマンを持っており、
それを狙う人間がナギンの恋蛇な雄コブラを人質にナギンを捉えようとした。
しかし、怒り狂い蛇女と化したナギンに皆殺しにされたという。
そして時は流れて現代。
脳腫瘍で余命が残り少ないことを知った男が、
この禁忌を破って雄コブラを捕らえ、ナギンをおびきだそうとする。
ナギンは脱皮し、美しくも怪しい女の姿に変態し、
町に姿を現すと雄コブラ捕獲に関わったものたちを一人づつ血祭りにあげていく…
ジェニファー・リンチが監督・脚本を兼ねた本作は、アメリカとインドの合作作品。
蛇は原始宗教の頃から豊穣神として多くの国で信仰の対象とされてきましたが、
中国やインドなどアジア系の国では特にこの傾向が強かったようです(逆にキリスト教等では悪魔の使いとしての役割が強い印象)。
本作がジェニファーのオリジナル企画なのか、
インド側から持ち込まれたものなのかは不勉強で判りませんが、
本場で撮っただけあって蛇女の生態やビジュアルはなかなかの出来。
蛇から人間への変態は、脱皮を重ねながら変形していく姿をCG処理を交えて表現。
特殊効果は元KNBエフェクトの“K”ことロバート・カーツマンで、
確かに全身鱗に覆われた女妖形態の艶かしいメイクは、
KNBが担当した『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の“地獄のサンタ・ニコ(サルマ・ハエックおねーたま)”と共通する部分もあります。
尻尾が生えて半身、そして全身大蛇状態とかではほぼCGになっちゃいますが、
尻尾や手足の生え方とか、犠牲者を飲み込み腹を巨大に膨れ上がっらせて眠っている姿とか、
ちょっとこれまでにあまり見たことのないイメージが出てきて楽しいし、
犠牲者を血祭りにあげるパワフルさもよい。
蛇女ナギンは、恋蛇を奪った連中や女子供をいたぶる輩は容赦しないが、
決して無作為な殺戮を繰り返すわけではないあたりが、
筋が通った蛇神さまって感じですね。
また蛇女イメージのお約束として、
祭りで賑わい人々が踊り狂う街頭で、
蛇使いの笛に我を忘れて踊り狂う姿もユーモラスでいい。
蛇女ナギンを演じているのは、
ジャッキー・チェンの『The Myth 神話』のインドパートで、
ジャッキーを助ける女性を演じていたマリカ・シュラワット。
ジャッキーとの共演でも踊りに、ジャッキーとの掛け合いにと
身体能力の高さを披露してましたが、本作ではそれに加えて脱ぎも全開。
全裸で街灯にまとわりつき登る場面とか、
幻想的かつエロチックでたまんねーっす。
DVDはオリジナル音声に日本語字幕。吹き替え版はなく、
特典も予告編のみとちょっと寂しい仕様ですが、
作品的には蛇女ものとしてはかなりハイ・クオリティな一本なので、
一家に一枚所持しておきたい1枚ですな。
あっ、一応特典の予告編は、
このYoutubeにあがってるものよりも長くて約6分あります。
インド版なのかしら?
▼International Hisss HD Trailer with subtitles - YouTube
?『蛇女の脅怖』(The Reptile)
やっぱり、僕らの世代で蛇女というとハマー・プロのこれですよ。
個人的には劇場にはもちろん行けてないし、
テレビ放映でもタイミング的に出会うことはなく、
本編を見られたのはビデオ時代(字幕付だとさらに直近のDVD時代)になってからですが、
大伴昌司先生の少年誌のグラビアでまさに睨みをきかせてたこいつのスチールは、
『吸血ゾンビ』と並び子供の頃のトラウマというか…
でもだからこそ観たくて観たくてしょうがなくて。
ハマーという会社がこういう物ばかり作ってる会社だ
ということを刷り込まれたきっかけの映画でもあります。
内容は、神学者がボルネオで蛇神カルトの研究に深入りしすぎたために、
その娘が呪いをかけられて夜になると蛇女に変身してしまうというもの。
その鋭い牙に噛まれたものは、コブラの猛毒より黒死病のごとき形相で死に至る。
ただし蛇女なので寒さには弱く(コーンウォールの学者の家の地下には温泉が湧いている設定)。
クライマックスでは割られた窓からの冷気でご臨終と結構情けないところもありますが、
中盤で最初にこいつが暗闇から現れる場面は何度観てもゾクゾクします。
▼The Reptile(蛇女の脅怖) TRAILER 1966 - YouTube
?『妖女ゴーゴン』
ギリシア神話に登場する、
頭髪が蛇でその醜さ故に見た者を石に変えるという蛇女三姉妹は、
『タイタンの戦い』『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』等ファンタジー系作品にはよくでてきますが、
ホラー映画でこれを扱ったのはやはりハマー製作のこの作品くらいですかね。
こちらは結構近年までテレビ放映の機会も多く、
字幕版ビデオも早い時期にリリースされたんですが、
逆に日本版DVDは現時点で発売予定なし。
最近また、単発的にハマー作品を出すメーカーが出てきているので、
こちらも早急なリリースを期待したいところ。
ドイツの山間部の村で遺体が石化する変死事件が続発。
兄と父が犠牲になった男が調査を進めていくと、
どうやらその村に伝説の蛇女ゴーゴンが生き続けているらしいことを知り…
テレンス・フィッシャー監督、
クリストファー・リー、ピーター・カッシングという
二大ハマー・スターの共演というゴールデン・コンビによる一本で、
作品的には『蛇女の脅怖』よりサスペンスフルで面白いが、
肝心のゴーゴンのメイクがイマイチ迫力不足かな。
▼THE GORGON(妖女ゴーゴン)TRAILER 1964 - YouTube
?『ケン・ラッセルの白蛇伝説』
大蛇伝説の残る英国の高地地方の村で、…
恐竜の如き巨蛇の頭部の化石が見つかったことに端を発し奇妙な出来事が続発。
事件の裏には、村の外れの邸宅に一人暮らす美女シルヴィアの影が
当然シルヴィアが蛇女なわけですが、
巨蛇神ダイオニオンに遣え、生贄の処女を捧げるために転生を繰り返してきたという設定。
演じているのはクール・ビューティ系のアマンダ・ドノホーで、
蛇女メイク自体は(多分わざと)子供だましっぽい感もありますが、
緩やかな音楽を聴くと踊らずにはいられないという蛇女特性で、
クネクネと踊る様はコミカルかつエロチック。
そのあたりも含め、宗教的かつアバンギャルドなイメージの連続は、
ケン・ラッセル監督の面目躍如といったところ。
また蛇女に噛まれた犠牲者が、伝染し奴隷状態になるあたりは、
原作が『吸血鬼ドラキュラ』のブラム・ストーカーならではですな。
▼THE LAIR OF THE WHITE WORM(白蛇伝説)TRAILER 1988 - YouTube
?『CULT OF THE COBRA』
ハリウッド製怪奇映画の牙城として時代を築いたユニバーサル・スタジオ製作作品だが
結構地味なこともあってか未だかって日本ではちゃんとした公開・リリースはなし。
かろうじて、ジョン・ランディス監督の予告編集『カミング・スーン』で
“コブラ・ウーマン”として予告編が字幕付で紹介されていましたね。
内容は、駐屯先で蛇神カルトの儀式を見物中に、
無許可で写真をとり怒りにふれられた米兵に、蛇女が復讐を開始するというもの。
とはいえ、変身場面も切り替えで女から蛇のシルエットにかわる程度で、
時代を考えてもやっぱり地味(笑)。
▼CULT OF THE COBRA TRAILER 1955 - YouTube
?『蛇女』
新進モデルの主人公(佐伯日菜子)は、仕事で知り合った生化学の助教授から、
自分の研究が彼女の役に立つと告げられ、二人は次第に接近していく。
だが、主人公が助教授の古い邸宅に泊まった晩から、奇妙な出来事が起こり…
蛇神ものではなく、
美への妄執と愛憎を蛇を用いたバイオ実験による不老不死の研究にからめた、
ちょっと東宝変身人間シリーズを想起させる作品で、
小中千昭のオリジナル脚本を清水厚が監督。
若狭新一の手による和服におかっぱ頭が萌え〜なハマー風蛇女が登場しますが、
そこの部分は残念ながら夢オチ。
夏生ゆうなの淫靡な感じの狂いっぷりがいい感じ。
▼ZOMBIE SNAKE(蛇女)TRAILER 2000 - YouTube
?『楳図かずお恐怖劇場 まだらの少女』
楳図かずおの代表作を、井口昇が映像化したもので、脚本はこちらも小中千昭。
奥深い山村に棲むいとこ(成海璃子)の家にやってきた都会暮らしの少女(中村有沙)。
だが村には蛇が祟るとの言い伝えがあり、少女は蛇女の疑いをかけられ追い詰められて行き…
こちらは原口智生が特殊造型を担当しており、
中原翔子が下半身が長〜い蛇の尾で、顔は楳図マンガのイメージどおりな成人?版蛇女として登場します。
璃子ちゃんも、完全な蛇化はしないけど、特殊メイクで主人公を追い詰める役を力演。
▼映画『楳図かずお恐怖劇場 まだらの少女』 予告篇 - YouTube
?『怪談蛇女』
日本の怪談映画でも、プライベートでも蛇好きで蛇女優と呼ばれた
毛利郁子の『白蛇小町』に始まる“蛇映画”三部作や、
蛇の化身に魅入られた男の奇怪な体験を描いた『蛇精の淫』など
蛇がらみの作品はそこそこ作られておりますが、
その中から今回は我等が中川信夫によるタイトルもズバリな後期の代表作を。
明治初期、地主に搾取されつくした小作人一家が地主に化けて出る話なんだけど、
小作人の妻が生前蛇を助けてたことから、
地主には蛇の祟りもふりかかってくるというもので、
地主の息子の新妻が初夜の床で鱗が生えたりしちゃいます。
もっとも蛇女自体よりも、
暗闇の中に「ひゅ〜、ひゅ〜」と響く音(それが何かは見てのお楽しみ)とかの怪談描写の方が怖いっす。
▼SNAKE WOMAN'S CURSE(怪談蛇女)TRAILER 1968 - YouTube
というところでちょうど半分。
次回の後編ではアジア各地の蛇女映画をご紹介します。
お楽しみに!
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