どもども、殿井です。
いきなりですが、この原題カタカナ表記邦題の
『インシディアス』って、誰でもわかるような英単語じゃないですよね。
『JAWS/ジョーズ』の時みたく、
パブでジョーズは顎のことですとか説明してるわけでもないし、
なんだろう?と興味を持つ人もいるだろうけど、
反面わかんないからいいやとスルーしちゃう人も結構多いんじゃないかしら?
同じく原題カタカナ表記で聞きなれない単語でも、
『ザ・ウォード/監禁病棟』みたく
サブ・タイ扱いで補完してあればいいんだけど、
ちょっとこれは不親切だよね。
そんなわけで、一応英和辞書引いてみましたよ。
[形]1 知らない間に作用する, 潜行性の
2 〈性質・行動などが〉人をだまそうとする;
油断のならない, こうかつな
( 「プログレッシブ英和中辞典」より)
なるほど、この意味なら納得かな…というわけで、
現在ロードショー公開中の『インシディアス』は、
『パラノーマル・アクティビティ』の監督・オーレン・ペリと
同作のプロデゥーサー陣が製作として名を連ね、
『ソウ』の監督であるジェームズ・ワンと、
脚本・出演のリー・ワネルがそれぞれ同じ役割で参加した新作ホラー。
ワン=ワネルコンビによる『デッド・サイレンス』に続いての怪奇映画路線ですな。
夫婦が三人の子供を連れて新居に引っ越して来たのだが、
そこで異様な物音・消えてしまった荷物など、
些細だが合点の行かない出来事が頻発。
小学生の息子は、屋根裏部屋でハシゴから落ちた後、
医学的には説明のつかない昏睡状態に陥ってしまう。
困惑と悲嘆を抱えたまま一家は別の家に引っ越すが、
そこでも怪異はさらに続く。
そして夫の母親の旧知の霊能者とその助手による調査の末、
遡って夫の母親が封印していた夫の少年時代にも関連する
怪異の存在が明らかになり…
ワン自体は本作を
50〜60年代のモノクロ・ゴースト映画の現代化
と語っているようですが、もっと有体に言っちゃうと、全体的には、
ワンが大好きだというスティーヴン・スピルバーグが製作した
某80年代SFXホラー(…と書けば、タイトル伏せてもバレバレですな)のリ・イマジネーション版
といった感じですね。
子供の扱いに関しても、フィジカルかスピリチュアルかの違いはあれども、
基本的には一緒だし、そういう意味では、
リチャード・マシスンの短編ホラーのひ孫くらいの存在
といった言い方もできそう。
映画の前半は、
赤ん坊のモニター用スピーカーから流れる不審な声とか、
勝手に揺れだす木馬とか、
シーツに残った血で染まった人外の手の跡とか、
ホーンティング・ハウスものの常套的怪異が描かれていき、
虚仮威し的な音響効果もそれなりに効果的。
ただ怪異の存在が特定され、
夫が息子を助けに向かう後半は、むしろ
襲い来るモンスター達と戦う家族・父子
というアクション・ホラー的なテイストに移行。
怪異の首領格の悪魔に一応は獣的な部分が加味されているのは
ちょっと面白いけど、その姿を出してしまうともうあまり怖くはない。
白塗りメイクで目を見開いてニカッと笑いながら迫ってくる悪霊たち、
特にメインとなる老婆の描写は、ほとんど
『デッド・サイレンス』の女腹話術師の悪霊と同じですな。
『デッド・サイレンス』の頃にはマリオ・バーヴァを意識した
との発言もしているワンだから、このあたりのルーツは
『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』の老婆あたりか。
そういう意味では趣味が一貫してるんはいるんだけど、
それが観客にとって怖いかどうかはやっぱり別問題かと。
ただ、怪奇映画が撮りたかったんだなという想いは
ひしひしと伝わってくるし、
サイコ的な題材だろうとオカルトだろうと、
最後はやっぱり強引に畳み掛けちゃう
バッド・エンディングに持っていかないと気がすまないあたりも、
なんか微笑ましいというか、ジャンル・ファン的には憎めない感じかと。
キャスト的には夫の母親役を演じてるのが
バーバラ・ハーシーなのが、結構ツボ。
なんてったって、『エンティティ−霊体−』では
霊体レイプを経験済みなんだから、こういう時の対応はお得意なのよね。
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『インシディアス』
INSIDIOUS
2010年/アメリカ/103min
配給:ショウゲート
2011年8月27日(土)より、シネマサンシャイン池袋、
TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて全国ロードショー公開中
(C)2010 ALLIANCE FILMS (UK) LIMITED, ALL RIGHTS RESERVED.
▼インシディアス公式サイト
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