前回の『メトロ42』に続き、好評開催中の“カリコレ2014”こと
カリテ・ファンタスティック シネマコレクション2014特集!
ってことで、とりあえずボクもカリテで3本観て来たよ。
DVD・ブルーレイ既発売の話題作が1コイン(¥500)で観れる
“オト カリテSPECIAL”の『ヘンゼル&グレーテル』(13)は
いつでも観れるしまぁ時間調整くらいのつもりだったんだけど。
グレーテル役のジェマ・アータートン(『ビザンチウム』『タイタンの戦い』)が今回も魅力的で、
兄妹と魔女のバトル・アクションも快調かつ血しぶきも飛び散りまくり、
小屋で観といてよかったなと思える1本だった。
その後本命視していて、続けて観たインドネシア映画『ラスト・ワールド』(13)は、
ボスター・ビジュアルと
核爆発による世界崩壊後、地下シェルターに入るにふさわしい人間を自分たちの中から選び出せ
という紹介から、核ホロコースト・パニックだとばかり思っていたら、
それはインターナショナル・スクールの“哲学”(原題)クラスの最後の授業の命題で、
そのディスカッションの内容が映像化され提示されるという
『中学生日記』かよ!みたいな作品で唖然とさせられた(苦笑)
で、もう1本は未知への冒険はとりあえず避けて(笑)
と選んだアサイラム社のシリーズ第3弾『メガ・シャークVSメカ・シャーク』(13)。
作品自体は相変わらずのアサイラム・クオリティで観てて何度か意識が飛んだけど、
意味なくキャタビラ地上仕様で市街を蹂躙するメカ・シャークの勇姿が最高にバカバカしくて、
同社の作品としては結構好印象だな。
これももうすぐソフト・リリースされるから、好事家は要チェック。
▼? メガ・シャークvsメカ・シャーク劇場予告編 - YouTube
そんなまさに玉石混交な“カリコレ2014”も、今週末からいよいよ後半戦。
中でも狂騒の屑ビデオ時代を巡るドキュメンタリーで
6月7日より上映の『VHSテープを巻き戻せ!』(13)。
これは絶対小屋に行かねばなるまいと決めているんだけど、
▼ Rewind This! - Official Trailer - YouTube
現時点では未見なので、今回は事前に観れたもう1本のお薦め作品。
5月31日より上映される、
寄生虫パニック・ホラー『ザ・ベイ』を紹介しよう!
メリーランド州チェサピーク湾に面した長閑な町クラリッジ。
その湾内に大量の死んだ魚が浮かび上がる等不可解な事件が続出する。
二人の学者が調査を進めたところ、町の中心産業である養鶏で、
鶏に与えられた飼料に含まれていたステロイド系の化学物質が、
鶏の糞と共に湾に大量投棄され続けたことで、
湾の富栄養化と汚染が進み生態系に深刻な影響が出ていることが判明する。
学者は市長に警告するが、町の産業を重視する市長は聞く耳を持たなかった。
そして7月4日、独立記念日のカーニバルに沸く町を、突如災厄が襲う。
カーニバルを楽しんでいた住人が、そして観光客が、
赤い水疱に覆われ苦悶の叫びをあげながら次々と倒れていく。
それは汚染された湾で異常な進化と繁殖をとげ、
海水を濾過した飲料水と一緒に人々に摂取された寄生虫の仕業だった!!
というわけで本作は、
環境破壊で異常発生したらしい普通の爬虫類・両生類系の群れに、
人間が勝手にパニクッて自滅する『吸血の群れ』(72)とか、
▼Frogs Official Trailer #1 - Ray Milland Movie (1972) HD - YouTube
メイン州の森林の湖水が製糸工場の廃液で汚染され、
水銀ミュータント・グリスリーが出現する、
ジョン・フランケンハイマー監督の怪作『プロフェシー/恐怖の予言』(79)とか、
▼ Prophecy (1979) KillCount - YouTube
そして勿論我らが『ゴジラ対ヘドラ』(71)等など、
70年代以降に多数作られた環境破壊を原因とする生物パニック映画の系譜に繋がる一本だ。
前記の物語は時系列に沿ってまとめてみたが、
本作品は事件当時ジャーナリスト志望の大学生で現場レポートをインターンとして手伝っていたドナが、
真相暴露サイト用に再編集された映像に当時を振り返ったナレーションをつけたものという、
近年流行の“ファウンド・フッテージ”スタイルを採用…
なんて書くと、それだけで退く人もいたりしてってくらい新鮮味が無くなってる手法だし、
ただ雑な作りの観づらい作品なのでは?と、懸念するむきもあるだろう。
さらに製作である『パラノーマル・アクティヴィティ』シリーズ1作目の監督であり、
以後のシリーズをプロデュースしているオーレン・ペリ(同シリーズや『インシディアス』シリーズ、『フッテージ』等の盟友ジェイソン・ブラムと共同)の名前に気づくと、
それは確信に変わるかも?
でも、そんな先入観で、決してスルーすることなかれ!
これは、暴露サイトというアンダーグランドであっても
公開することを前提としたプロの制作物という設定なので、
事件前後の町の様子や、科学者の原因究明記録映像等も
素人作業じゃなくきっちり記録されていたものであり、
構図もでたらめ、画面ブレまくりみたいな映画以前の映像で誤魔化すような愚には走っていない。
もちろん、中にはホームビデオや監視カメラ、
車載カメラ等のファウンド・フッテージの定番メディアも出てくるが、
例えば体調の悪化とその原因が判らぬ不安と孤独を動画にアップして切々と訴える少女の痛ましい姿(実際に民生のスマホで撮った映像を使用)など、
個々のエピソードは観るものの感情を揺さぶらずにはいられないものが少なくない。
そしてこれらの様々な映像の断片を、
番組として時間軸を前後させたりしつつ、
やがて事件の全容が明らかになり、
怒涛の惨劇へとなだれこむリズムも心地よい。
新鋭を起用することが多いこのプロデュース・コンビにしては珍しく、
今回は『レインマン』『トイズ』『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』等の
ベテラン職人監督バリー・レヴィンソンとのタッグが功を奏し、
リアルな描写と恐怖に裏打ちされた、正しいジャンル作品になっているのだ。
なお、レヴィンソン自身、舞台となったメリーランド州の出身で、
現実に観測されている水質汚染の問題や、肉食バクテリアの脅威を念頭にして、
現実への警鐘として構想した作品だそうだ。
冒頭の各地で不可解な大量死で打ち上げられた魚の映像が意味するように、
70年代のように目に見える形での公害は少なくなってきたが、
それらはなくなくなったわけではなく、
見えない分より危険な形になっているのだと。
本作で登場する寄生生物は、最近話題のオオグソクムシやフナムシ等と同じく
等脚目に属するウオノエ科の生物が異常な進化をとげたものという設定。
ウオノエというのは、エラなどから魚に寄生し、
その舌を食べつくし自らが舌の位置に成り代わり、
その魚が死ぬまでその体液をすするんだとか。
それが、人間の体内にも寄生するようになったら…
ということで、後半の惨劇はかなり強烈。
被害者が赤い水疱に覆われて…なんてのは序の口で、
人体で肉と皮の間を無数のウネウネが這い回り、
やがて食い荒らしつつ体外へってのが、
特殊メイクをこれでもかとばかりに駆使して描かれるのだから、
耐性の無い方はご遠慮いただいた方がいいかもしれないけど、
多分この記事を読んでくれるような御同輩なら快哉をあげること間違いなし。
特殊効果はグレッグ&コリン・ストラウス兄弟が主宰し、
『X-MEN:フューチャー&パスト』、
『デイ・アフター・トゥモロー』、
『AVP2 エイリアンズVSプレデター』(ストラウス兄弟が監督)等、
近年のハリウッド大作を数多く手がけるHYDRAULX(ハイドラックス)が、
製作プロダクションとしても名を連ね、
ジャンル作品としてのグロテスクな魅力に貢献している。
前回の紹介の『メトロ42』に比べると、
そのグロ描写で万人向けとは言い難いかもしれないが、
個人的にはどちらも甲乙つけ難い“カリコレ2014”のお薦め作なのだ。
なお、“カリコレ2014”開催中の新宿シネマカリテのロビーでは、
カリコレ・スタートの少し前から、
館内設置の水槽でウオノエのお仲間であるオオグソクムシが飼われているのだが、
『ザ・ベイ』公開初日の5月31日には、
初日イベントとして、鑑賞者なら誰でも参加可能な
「オオグソクムシとタッチング付記念撮影会」
が15時30分の上映終了後に開催されるとのことなので、
ウオノエくんと仲良くなりたい方はこの機会をお見逃し無く♪
それでは最後のオマケコーナーでは、今回はもちろん寄生虫ネタをミニ特集だ!
●『ヨンガシ 変種増殖』(12)
韓国で人々が水に飛び込み溺死する奇病が発生。
それは異常な進化を遂げ人間に寄生するようになったヨンガシ(ハリガネムシ)の仕業だった。
ハリガネムシがウネウネするグロテスクな描写は皆無ではないが少な目。
後半はパニック映画というよりも、
むしろヨンガシ蔓延の影の陰謀を巡ってのサスペンスになってしまうのが、ちと物足りない。
▼『アベレーション2』(97)
害虫駆除に散布された科学殺虫剤の影響で、ゴキブリ目の害虫や長虫が異常進化をきたし、
静かな湖畔の町の住民に襲いかかる
という、傑作『ミミック』風味を思いっきり希釈させて低予算で映像化した作品。
寄生虫に体内を食い荒らされてみたいなシチュエーションも、直接描写がほとんどないのでグロな印象は希薄。
むしろ、若きキャサリン・ハイグルの身体を這い回るゴキブリ等の描写がそこはかとなくエロティックで印象的。
▼ Bug Buster Trailer 1998 - YouTube
●『スラッグス』(87)
環境汚染の影響で異常発生したなめくじの群れが人間を喰いまくる
グロテスク虫パニックのある意味極北的作品。
実物大量投入でなめくじの群れにたかられる生理的嫌悪感も相当なものだが、
実はこのなめくじには寄生虫が巣くっていて、
サラダに混入して食べた男の体内でそれが増殖、
眼球を突き破って大量の寄生虫が湧き出るスプラッター描写が凄まじい。
▼Slugs: The Movie (trailer) - YouTube
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『ザ・ベイ』
THE BAY
2012年/アメリカ/85min
提供・配給:パルコ、ハピネット/配給協力:武蔵野エンタテインメント
2014年5月31日(土)より新宿シネマカリテにて感染開始!!
(C)2012 ALLIANCE FILMS (UK) LIMITED
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