お久しぶりの下忍エコタロウめにござりまする。
久々に殿井君人氏から原稿が届いたでござるよ。
今回は2/21にDVDが発売されたばかりのサイバー・スプラッター
『ミートボールマシン オリジン』の山本淳一監督ロングインタビュー!
ミートボールマシン オリジン [DVD] WHDジャパン 2014-02-21 by G-Tools |
しかし、例によって超超長文なので、
前中後編、3回に渡ってお送りするでござる。
お付き合いのほど、よろしくお願いいたしまする!m(_ _)m
●出会いは”ニンジャリアン”
(殿井)
どもども、山本監督お久しぶりっす。
そして、このたびは監督にとっての商業長編デビュー作になる、
サイバー・スプラッター巨編『ミートボールマシン』(99)が『ミートボールマシン オリジン』として初のDVDリリースとなりましたね。
おめでとうございます。
(山本監督)
ありがとうございます…
でもインタビューしてくれたの年末だから「なりましたね」じゃなくて「なりますね」でしたよね。
あれ、で・じゃ・びゅかなぁ???
それ、意味違いますよ(笑)
それに”サイバー・スプラッター”ってナニ???
いやほら、『ヘル・レイザー』公開時に、あれ“さいばーぱんく”って宣伝してたっしょ。
だから???とか言われても困るんだけどなんとなく(苦笑)
それはさておき、ボクは山本監督の作品は『ミートボール〜』の劇場公開時から追いかけてはいたんですが、リアルで知りあってからはまだ1年半経ってないんですよね。
一昨年、こちらでも紹介した古本ゲリラに出品したものの会場では売れ残った1本のビデオを共通の知人を介して譲って欲しいとの連絡をいただいて、お逢いしたのが最初でしたね。作品は…
『ニンジャリアン』!!!
もう、ずっと欲しくてなかなか巡り会えなかった作品だから、あの時“だけ”は殿井さんが神さまに見えましたよ。
古本ゲリラの会場では『アナザー Another』の古澤健監督も『ニンジャリアン』のVHS出してて、あちらは早々に売れてたようでした。
それでまぁ、受け渡しでお逢いしたときに屑ビデオ話とかで盛り上がって、ネタで“ニンジャリアンズ”を結成しようとかね(笑)
でも殿井さんはあの時、丁度公開になったボクの『武蔵野線の姉妹』(12)のチケット買ってくれませんでしたよね。
(滝汗)…やぁ…
だって劇中で血でなさそうだったし…
ボクらにとっての秋葉ってメイドじゃなくて屑ビデオの街だったはずじゃん!(逆ギレかよ)
でも、冗談はさておき、後日DVDで拝見した『武蔵野線の姉妹』は、
加藤夏希の弾け…というか捨て身ぶりとか、
眺めてるだけで癒される小松彩夏ちゃんの美しさとか、思いっきり堪能させていただきましたよ。
▼映画『武蔵野線の姉妹』予告編
●WHD−ジャパン が好き!
で、話が全然進まないけど、
そんな中で、劇場で観たきりでソフト化されてない『ミートボール〜』と『ガールフレンド:ストラトス』(01)。
これをどうしても観たいんだけど、なんとかなりません?ってお願いして、
監督から直接VHSいただいて再見し、
「やっぱこれらは面白いよ。絶対ソフト化すべきだよ!」
ってフェイスブックの屑ビデオ人脈の中で回し観しつつ、
密かに盛り上がっていたらそこで興味を持ってくださったのが、
今回リリースに踏み切ってくださったWHD−ジャパンのCEOである阿見さん。
やぁ、もうね、未公開のあんなタイトルやこんなタイトルを廉価でガンガンリリースしてくださってるメーカーさんだから、前からここしかないでしょなんて話はしてたんですが。
▼殿井君のWHDジャパン・コレクション。これでも全リリースの!/4強ってところか
ありがたい英断をしていただきました。
だって、20年以上前に撮った自主映画ですよ。
正直マスターも決していい状態のものは残ってなかったですしね。
それに、僕も阿見さんの出されたDVDたくさんあるし、ファンでしたから。
『人肉食堂 〜とむらいレストラン〜』とかもう死ぬほど好きですね。
リリース作品250本以上っすからね。
初期に出たハマー最後のドラキュラ映画『新ドラキュラ 悪魔の儀式』とかもマヂで嬉しかったっすが、ボク的一押しはエド・ウッドの原案・脚本で日本を舞台にしたマッド・サイエンティストもの『エド・ウッドのX博士の復讐』ですね。
もう同趣向の『双頭の殺人鬼』が一般映画に思えちゃう怪作だけど、これも文字資料等で存在のみ知る幻の作品でしたから。
●自主映画への思い入れが伝わってくる『恋の映画を作ろう』
それと大木ミノル監督の新作『恋の映画を作ろう』はご覧になられましたか?
阿見さんからいただいたんですが、ぢつは僕のところブルーレイディスク観れなくて…
まぁ、ボクもやむをえず導入しましたが、個人的にはぶるーれいなんて発明されなければよかったのにと心底思いますよ(笑)
でボクもやはり一足早く『恋の映画を作ろう』は内覧用サンプルで拝見したですよ。
140分の長さをちょっと感じないでもないですが、
それもあって同年代故の時代描写とか、自主映画製作への思い入れは痛いほど伝わってくる作品になっていたので、映画ファンなら興味深いと思いますのでリリースされたら是非>ALL
▼『恋の映画を作ろう』予告編
●山本監督処女作『リンガマニア』
で、今回発売になるDVD『ミートボールマシン オリジン』はスペック等は別途記載しておきますが、映像特典として山本監督の処女作『リンガマニア』を収録。
セル版ジャケットは『装甲刑事メガコップ』の鈴木智也先生の書き下ろしイラストと、かなり気合の入ったものになってますよね。
ありがとうございます。でもそのステマ口調なんとかなりませんか(苦笑)
いいや、胸を張ってステルスじゃなくてダイレクト・マーケティングです!
…って、別に宣伝費いただいてるわけじゃなくて、素直に好きな作品を応援したいだけなんだからいいんです。
というわけで、今回はDVDリリース記念ということで、山本監督にいろいろお話をうかがいたいと思います(…ってやっと本題だ(苦笑))
まず今回映像特典として収録される『リンガマニア』(96)。
こちらはゆうばりファンタ以外では基本自主上映ということで、ボクも今回のDVDで初めて観るのが楽しみな作品なんですが、どういう映画なんですか?
人体実験で片腕が肉の塊みたいになり、それを神の性器だと言い張る男が小暴れする映画です。
その男に多少同性愛的な感情を持った研究員が彼を逃がしてしまうんだけど、舞い戻ってきた男は、行きずりの女をレイプして殺しまくる。
研究員の親友の彼女もその男に殺されてしまうのだが、研究員は親友を制止して…みたいな展開です。
なるほど。そういえば、『ミートボール〜』でも男と男の場面がありましたけど、ひょっとして山本監督ってモ〜ホ?
それで奥様とお別れになったとか…
貴方、本当に失礼ですね。創作と現実を一緒にせんでくださいよ。
やぁ、ネタっすよネタ。
こちらの製作はどのような感じだったんですか?
それとやはり特撮とかも多用されてるんでしょうか?
撮影は93年から96年にかけて、3年くらいかかりましたかね。
基本週末のみの撮影で、お金が無くなったら中断して、バイトしてみたいな感じです。
そして、97年のゆうばりファンタのオフシアター・コンペで上映しました。
特撮というかファンタ系の見せ場的なものとして、神の性器と化した片腕は作り物を製作し、
それと回想シーンを人形で撮ったりしたので、完成まで随分時間がかかっちゃいましたね。
なお、完成作品は40分強、今回収録されたものは34分となっていますが、
これは既成曲を使用したエンド・クレジット部分を切ったためで、映画の内容としてはノーカット版ですよ。
なるほど、これまた幻の作品が観れるのは嬉しい限りです。
●『鉄男』とクローネンバーグの影響
で続いての作品が初長編であり、99年に中野武蔵野ホールで前述のとおり一般公開された『ミートボールマシン』(99)ですね。
ただこちらは、製作・配給が怪物団FILMとなっていますので、製作はあくまでインディーズなんですよね。
そうです。『リンガマニア』と『ミートボール〜』が、怪物団FILM作品で、
続く『ガールフレンド:ストラトス』までは完全な自主製作になります。
『ミートボール〜』は人間に寄生する謎の生命体と、それらに寄生され変化した者たち同士の血みどろバトルを、アナログ特殊効果をふんだんにとりいれて描いた作品ですよね。
それで今聞いた『リンガ〜』にも通じるものがありますが、当時作品を知り劇場に足を運ぶ前のボクの印象は正直『鉄男 TETSUO』?って感じだったんです。
で肉体変容とアナログで過激な描写とか、確かに塚本監督と共通する要素もあるんですが、寄生生物が体内で宿主をロボットを操縦するがごとく操る描写に感心しました。
んで、こうして知り合って、フェイスブック等で山本監督の書き込みをみるに付け、やっぱりアニメ・実写を問わずロボット・怪獣ものへの嗜好が伝わってきて、妙に納得したものですが。
確かに『鉄男』の影響はすごくありますよ。
ただ自分的には最初『ミートボールマシン』のマシンって、スティーブン・ノリントン監督の『デス・マシーン』からなんですよ。あれのパワード・スーツが肉でできてたらカッコイイなと。
▼Death Machine - theatrical trailer
それでデヴィッド・クローネンバーグも好きなんで
クローネンバーグがパワード・スーツをを作ったらこういう風になるんじゃないかな?
と妄想したりとか、そのあたりから入ってますね。
だから当時『鉄男』も好きでしょうがなかったけど、だからこそ『鉄男』を意識しないでやろうと思いましたね。
でもやっぱり『鉄男』だったですけど(笑)
人間を操縦するイメージは、なんであんなアイデア思いついたんだったっけ?
『ロボジョックス』なのかなぁ(笑)
もうなんか面白いからやってみようみたいな感じでしたね。
自分的にはあれは人型の脳ミソっていうイメージがあったんですよね。
操縦してるっていうより、脳ミソ自体が人型でその動きにあわせてるって感覚かな。
撮影当時はずっと、人型の脳ミソって呼んでましたね。
ユーザーって名前だったんですが。
シナリオにも人型の脳ミソって書いてあった気がします。
その人型の脳ミソですが、劇中で語られる
「あるものは空から降ってきて、あるものは海からやってきた」
という台詞が、ちょっとクトゥルー神話を想起させつつ、最終的な正体は説明しないままなのが個人的には趣味でした。
リメイク版では同じ台詞がありながら、その正体をエイリアンの生体兵器みたいなイメージに限定されちゃいましたが。
あれは、この世のを憎んで死んだ死者の邪悪な念や魂が作ったスピリチュアルなモノという裏設定をぼんやりと考えてた時期はありましたが、でも奴らが何者なのか、はっきり分からない方が楽しいじゃないのかな(笑)
SFじゃなくてオカルト!?(笑)
でも、おっしゃる通り想像の余地があるのはいいですよね。
(中、後編に続く)
▼『ミートボールマシン オリジン』伝説のインディーズ・ヴァイオレンス待望のDVD初リリース記念! 山本淳一監督インタビュー(中編)
▼『ミートボールマシン オリジン』伝説のインディーズ・ヴァイオレンス待望のDVD初リリース記念! 山本淳一監督インタビュー(後編)
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『ミートボールマシン オリジン』
2014年2月21日(金)WHDジャパンよりDVD RELEASE!
▼WHDジャパン
定価:3334円
カラー/モノラル/収録時間:70分+(映像特典34分)
仕様:片面一層/スタンダードサイズ/モノラル
制作年:1999/制作国:日本/シャンル:SFアクション
監督・脚本:山本淳一
撮影:美佐田幸治
出演:渡辺稔久/佐々木聡子/相馬里乃/内屋敷保/黒沢ヒロオキ/塙雅夫/大橋茉未奈
【INTRODUCTION】
■監督は「ブタカリ。」や「口裂け女 リターンズ」「武蔵野線の姉妹 」等で知られる山本淳一。
彼が1999年に制作し話題を呼び、後に山口雄大氏との共同監督でリメイクされたオリジナル版。
■その残酷描写と奇妙なストーリーが公開時からも話題だった。
■公開当時よりさらに手を加えたディレクターズカットによる世界初登場の完全ノーカット版。。
■山本淳一監督の原点で短編映画『リンガマニア』も同時収録。
■販売版のみジャケットは鈴木智也(漫画家)先生執筆のイラスト。
【STORY】
恋人サトミはある日、ゴミ置き場にあった謎の物体に取り憑かれてしまう。
そしてその直後に現れた謎の男は強力なパワー・ミートボールマシンによりサトミを惨殺する。
主人公のマサヤは謎の男との死闘の末、マカオ博士に助けられるが・・・
今、更なる壮烈で残酷な最後の闘いの火蓋は切って落とされた。
その血みどろで残酷、衝撃的な描写とストップモーションを駆使したSFXは今観ても斬新!
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