3人のホラー・マエストロが腕によりをかけた、
次代のJホラー最新作集“ネクスト・ホラー・プロジェクト”。
そのトリを飾る『トーク・トゥ・ザ・デッド』が、
8月3日ユーロスペースにて初日を迎え、
上映前に鶴田法男監督と主演の小松彩夏、加藤和樹による舞台挨拶が行われた。
当日の劇場内は、通路にも多くの立ち見の観客が並ぶ大盛況で、
まずは鶴田監督が
「予想を超える大勢の方に来ていただいて嬉しいと同時に、立ち見の皆さん申し訳ありません。
尺は短い作品ですので、ジェームズ・キャメロンの作品なんかを観るよりは楽なはずですから、最後までゆっくり楽しんでってください。
“ネクスト・ホラー・プロジェクト”3作品はそれぞれ去年の撮影でしたが、やっとこういう形で公開でき感無量です」
とユーモア交じりで挨拶。
ヒロインの百合を演じた小松彩夏は、
「弟を亡くしたことを後悔している役どころだったので、演じながらすごくすごく苦しかった覚えがあります。
この夏ぴったりのホラー作品になっていますので、ドキドキしながら楽しんでください」
とコメント。
劇中彼女は喪失感に囚われたはかなげなムードが秀逸だが、
母親役の毬谷友子との確執など体をはった場面も多い。
「これは撮影で出来た傷なのか、この作品をやってるから出来た痣なのかなんだかもうわからなかったです(笑)」
と撮影現場を振り返った。
そんな小松に、鶴田監督も
「今までの小松じゃない小松がここにいますから凄いですよ。
役者として一皮むけたと思っています」
と賞賛を惜しまない。
ユリに想いを寄せる亮を演じた加藤和樹は、
「怖さの中にも切なさとか色々織り込まれた作品になっています。
小松さんに想いを寄せるというか見守るような役どころですが、誰かを思う気持ち、求めすぎてもいけないし、何かを期待してもいけない。
その境界線のすごく難しいところがこの作品には入っていて、ボクの役もこの想いをどう伝えようかという部分が沢山ある。
そんなことを観客の皆さんがご自身に置き換えて自分だったらどうするかとか、色々考えて見てもらえると思うので、最後まで楽しんで欲しいです。」
とコメント。
劇中印象に残っている場面として、
事務所で真面目にタオルを畳んでいるところと答えた加藤に
「そんな加藤の朴訥とした感じが亮役にフィットしてて、すごく魅力的」
と鶴田監督。
『トーク・トゥ・ザ・デッド』は死者と通話ができるアプリを巡っての幻想怪奇譚。
OV次代黎明期よりJホラーの先駆者として礎を築いてきた
鶴田監督が、本作で描いた次代のホラーとは?
「僕の作るホラーは怖くないという言葉をよくいただくので、
この作品に関してはその汚名を返上しようと思って、思いっきり怖くない!(場内爆笑)
だから多分『呪怨』とかそういう怖いホラーを期待して観に来た方には、申し訳ないですがちょっと肩透かしになると思います。
ただ僕は、ホラーというのは勿論怖いというのが一つの使命なんですけど、
日本の怪談『東海道四谷怪談』などから、
西洋で言えば『吸血鬼ドラキュラ』とか、
昔ながらの古典的なホラー作品というのは、怖いけどその中に人間の悲哀や業とかが描かれている。
人間は普段明るいものを見ていたいし、自分や他人の暗部はあまり見たくない。
だけどそういうものも抱えていかなければ生きていけない。
そうした普段皆が目を逸らしたり、避けてしまったりする部分を、あえて描いていくのがホラーの使命だと思っているわけで、怖いというだけじゃなくて、人間の暗部や悲しい部分を描くことに意義がある。
僕は決して怖くないものを作ろうと思っているんじゃなくて、お化け屋敷的なものは作ってなくとも、立派なホラーを作っている。
“ネクスト・ホラー・プロジェクト”は三人三様それぞれ全く違うタイプの作品になっています。
Jホラーが元気がなくなってきたと言われて久しいですが、今年は『クロユリ団地』がヒットするなど少し持ち直して来た中で、この3作品でJホラーの第2ステージのスタートラインにきたなと、楽しんでもらえればと思います。
僕はこれまでどちらかと言えば怖くない、悲哀を描いた作品を沢山作ってきましたが、
これほどバランスよくうまくできた作品は初めてです。
それは小松君、加藤君という素晴らしい役者さんが演じてくれたことが、功を奏したという風に思っています。
ありがとうございました」
と、本作の手応えを語った。
なお『トーク・トゥ・ザ・デッド』は、ユーロスペースでレイトロードショー公開中。
その後、8月24日からの名古屋、シネマスコーレ 他全国順次公開予定。
▼ 映画「トーク・トゥ・ザ・デッド」予告編 - YouTube
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『トーク・トゥ・ザ・デッド』
2012年/日本/84min
配給:トラヴィス
2013年8月3日(土)よりユーロスペース他全国順次公開
(C)2012 Next Media Animation Limited. All rights reserved.
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