さて、順番的にはいよいよ大トリ『トーク・トゥ・ザ・デッド』にいくところだが、
もう一本、本日(7/27)公開作品があったので、そちらを先に紹介しておこう。
アメリカの最東北部に位置するメイン州。
豊かな自然環境で知られるこの州の(ウチラ的)名物と言えば…
そう“モダン・ホラーの帝王”スティーヴン・キング!
キングはメイン州のポートランドで生を受け成長、
作家デビュー後の『シャイニング』執筆時期に一時コロラドで暮らした以外は、
地元暮らしの生粋の”メインマン”だ。
そんなファンにとっての聖地にやってきたバカ…
もとへ、若者が恐怖と失笑の一夜を過ごすというパロディ・ホラーが、
『スティーヴン・キングは殺せない!?』だ。
メイン州の片田舎の町、フライバーグ。この森に囲まれた湖畔の静かな町に、カーステレオのHipHopもけたたましく、
6人の男女が別荘でバカンスを過ごしにやってきた。しかもその湖畔には、ベストセラー作家・スティーヴン・キングの邸宅もあるらしい。
ところが町についた一行が住人にキングのことを尋ねると、
「もうここには住んでいない」
「ヴァカンスならこの先の町に行ったほうがいい」
と、素気無い答えしか返ってこず、その態度もよそよそしい。それでもなんとかボートを借りて対岸の別荘に落ち着いた一行だったが、
一人車のガソリンを入れにいった仲間が何かに惨殺されてしまう。そして町の保安官の狼の仕業だという説明に、
納得できぬまま別荘に戻った一行にも、さらなる恐怖が迫っていた…
森を逃げる若い女が何者かに殺害されるプロローグは、
殺害方法故のマヌケな効果音で笑いをとりつつ、
それなりに王道な殺戮シチュエーションで期待が高まる。
ここをはじめ、アレンジを変えて度々用いられるBGMは、
キューブリック版『シャイニング』で使われた、
マーラー版で御馴染み“幻想交響曲”の一節だ。
他にも、
町のレストランの客の母子の名前や、
双子、
車のナンバー・プレート等等、
キングネタが小ネタ・レベルで散見されニヤリとさせてくれる。
シチュエーションも何もあったもんじゃなく、有名作品のシーンをトレースした
“かくし芸大会”レベルのネタでパロディでございと胸をはってみせるような
(想定作品は“最×絶叫◎画”シリーズとかな)
そんな愚を犯してないのが、大変好ましい。
メイン・ビジュアルに使われてたので、
期待以上に不安の高かった(笑)“黒いイット”も、
シチューエーション的には納得の行く出し方でほっとしたし。
コアな部分は台詞で説明しやう親切設計で、
全体的にはキングの小説や映画と縁が無くても、ちゃんとわかる作りになっているが、
それこそ代表的なこのあたりは、機会があれば観といた方が、より作品を楽しめるだろう。
シャイニング [Blu-ray] ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-04-21 by G-Tools |
イット [DVD] | |
ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-04-20 売り上げランキング : 10900 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
最後に印象をまとめると、
ベタな下ネタギャグを多様しつつも、
基調はあくまで誰かに仲間が殺されていく恐怖を描いていくスラッシャー・ホラー。
ここにキング小説を用いての見立て殺人と、
田舎のヤツは○チガイばかりという(偏見?)要素がミックスされた感じの作品だ。
まぁ、ミステリー的な興趣でいえば、オチはイマイチパンチ不足の感もあるが、
それなりにゴア・シーンも盛りこまれており、
新人監督コンビの長篇第1作としては今後の期待値も含め、悪くない1本と思う。
監督は3人の共同で、本編中イラク帰還兵(但し料理当番)のモンロー役を自演し、
本人もイラク経験のあるモンロー・マンと、
ポルノ&キングヲタのもてね系ロニー役を自演した地元メイン育ちで、
スタンダップ・コメディ出身のロニー・カリルの主役コンビが、監督・脚本も兼任。
撮影のホルヘ・バルデス=イガも同じく監督を兼任している。
▼映画『スティーヴン・キングは殺せない!? 』7月27日公開 - YouTube
************************************
『スティーヴン・キングは殺せない!?』
YOU CAN'T KILL STEPHEN KING
2012年/アメリカ/86min
配給:アット エンタテインメント
2013年7月27日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷にてレイト・ロードショー!ほか全国順次公開
(C)2012 Maine Horror Film, Limited Partnership. All Rights Reserved.
************************************
コメントする
※ コメントは認証されるまで公開されません。ご了承くださいませ。