どもども、殿井です。
やぁ、毎日クソ暑くてうっとうしいっすよね…
というわけで、今の気分というか願望は本編とは全然違うこの邦題かな。
▼The Last Winter Trailer (2006) - YouTube
…と本題と全く関係がな(くもな)いジャンクなエコホラーで幕を開けてみましたが、
皆様いかがお過ごしでしょうか?
今年の夏は特に8月以降に
ロボットだ!
Z(ぜーたじゃないけど、ゾンビとも言わんそうだ)だ!
最後のフロンティアと鋼鉄の男の新しいのだ! etc…
とファンタ・ジャンルのブロック・バスター作品が続々公開予定。
ファン的には嬉しい悲鳴が聞こえてきそうな今日この頃ですが…
その前哨戦つうかこっちが本命と感じちゃう同好の士も少なくないかと思われる、
邦洋・大(はそんなにないけど)小とりまぜて、
どど〜んと10本以上の新作ホラーもこの7月に公開と、
まさにホラーの夏が到来って感じですな。
流石にボクも事前に観れたのは半分くらいなんだけど、今月はそれらを集中的に紹介して行く予定っす。
さて、まだ前説というかこれはボク的宣伝なんですが(笑)
恐怖の対象をひた隠したパブ(でも、勘のいいファンならタイトルで判っちゃうよね)を展開し、
7月6日より公開中の変化球?ホラー『ダークスカイズ』
そのパンフレット(神武団四郎氏編集)にレビューを寄稿してますので、
よろしかったら鑑賞のお供にどうぞ♪
あっ、一応ネタバレしてるんで、鑑賞後に読んでね(笑)
んでは今日の御題に行ってみよう。
世界NO.1ホラー映画サイト“Bloody Disgusting”が製作に参加し、
米国ホラーの次代を担う新鋭クリエイターが競作した、
R-18ホラー・オムニバスで明日7月13日より公開される『V/H/S シンドローム』だ!
チンピラ4人組が引き受けた妙な依頼。 それはある家に忍び込み、そこから1本のVHSテープを盗み出してくるというチョロいものだった。だが、4人が忍び込んだその家には、ビデオ再生が終わり、
砂の嵐状態でつけたままになっているテレビの前で一人の男が死んでおり、
家中には大量のVHSテープが残されていた。4人は目的のテープを見つけるために、残されていたVHSを調べ始めるのだが…
というのが作品全体の枠物語で、
これに残されたVHSの再生分として5つのエピソードが挿入され、
全体としては6篇からなるオムニバス・ホラーとなっている。
だが残されたVHS=ファウンド・フッテージ故のPOVスタイルという手法は、
枠物語部分を含めて統一されており、
その中でそれぞれのクリエイターが、タイプの異なる恐怖に挑んでいるのがポイント。
以下、各エピソードごとに紹介していこう。
●エピソード"TAPE56"
“TAPE56”は、先にあげた映画全体の導入部及びブリッジにあたるエピソード。
冒頭彼らが製作・販売している生撮り裏ポルノの映像がザッピングされたりと、
猥雑かつ喧騒的な映像群が不穏な空気を醸し出し、やがてそれが超自然ネタへとシフトしていく。
本作が日本初紹介となる監督のアダム・ウィンガードは、
長篇二作目の『Pop Skull』(07)がボストン・アンダーグラウンド映画祭審査員賞、
インディアナ・ポリス国際映画祭グランプリを受賞し、
その後の作品も様々な映画祭で高く評価されている注目の新鋭。
本作の1週間後に日本でも劇場公開される26人のホラー監督によるオムニバス『ABC・オブ・デス』(12)や、
先月の先行ネット配信に続き米本国では12日に公開される本作の続編『V/H/S/2』(13)にも続投している。
▼映画『ABC・オブ・デス』日本版予告編 - YouTube
●エピソード"AMATEUR NIGHT"
冴えない青年クリントは、今晩こそ童貞とサヨナラだと、
小型カメラを仕込んだ眼鏡をかけて悪友二人と酒場に繰り出す。
そこでしこたま酔っ払いながらも、二人の女の子のお持ち帰りに成功。
ところが一人は泥酔のあまり目を覚まさず、
もう一人の子はクリントに向って“I like you”と繰返すもどこが挙動がおかしい。
それでも悪友たちはコトをいたそうとするのだが、突然彼女に噛まれてしまい…
というのが、デヴィッド・ブルックナー監督の“AMATEUR NIGHT”。
ナンパするまでの前半は、正直結構うっとうしい(それがリアル?)のだが、
ハンナ・ファイマン扮するいっちゃってる風な女の子が出てきてからは、
彼女のわけのわからなさを湛えたつぶら過ぎる瞳のいびつな魅力も相俟ってヒート・アップ。
(ちょっと若かりし頃のスーザン・サランドンや『MAY』ことアンジェラ・ベティス嬢系?)
彼女の意外な正体と、痛さ満点のゴアゴア描写もてんこ盛で、
個人的には本編中で一押しエピソードだ。
監督のデヴィッド・ブルックナーは、
大晦日の晩にテレビやラジオから発せられた謎の電波で人々が狂いだした世界を
三監督三部リレー形式で描いた終末パニックで、
サンダンス映画祭でも評判を呼んだ『地球最後の男たち THE SIGNAL』(07)の第1部を監督。
そちらでも見られた、ハードな殺人描写は本作でも健在だ。
●エピソード"SECOND HONEYMOON"
西部を旅行中のカップルに忍び寄る女性ストーカーの恐怖を描いたのが、
タイ・ウェスト監督の“SECOND HONEYMOON”。
因みにカップルの男を演じているのは、
“THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGE”の監督でもあるジョー・スワンバーグ。
タイ・ウェストは前置きネタで出てきた『地球が凍りつく日』(06)等を監督・製作した、
米インディペンデント系ホラー・メイカー、ラリー・フェセンデンに見出され、
フェッセンデン製作で田舎町で立ち往生した若者達が吸血コウモリに襲われる(さらに噛まれるとゾンビ化する)
パニック・ホラー『The Roost』(05)で監督デビュー。
米“ファンゴリア”誌選出の年間最優秀限定公開作品に選ばれたこの作品は、
トム・ヌーナン扮するホストの前説等を挿入する古きパルプテレビ番組的な枠組みを用いつつ、
低予算ながらコウモリ襲撃やゾンビ化した者との戦いなどハードなお楽しみが用意された快作だった。
日本でも『キャビン・フィーバー2』(09)、『インキーパーズ』(11)が未公開作品としてソフト・リリースされているので、
タイトルを聞けば「あれ撮った監督か!」と思い当たるファンも少なくないだろう。
アダム・ウィンガードと同じく『ABC・オブ・デス』にも抜擢されている。
●エピソード"TUESDAY THE 17TH"
大学生のウェンディは友人たちと湖の畔のキャンプ場にやってくるが、
突然彼女は
「皆、ここで死ぬの」
と口走る。
一行はそれを真に受けなかったが、やがて一人づつ仲間が姿を消して行き…
という一見典型的スラッシャー・パターン風がグレン・マクエイド監督の“TUESDAY THE 17TH”。
マクエイドは、元々ラリー・フェセンデンの製作会社“グラス・アイ・ピッグス”のVFXスーパーバイザーで、
前述の『The Roost』(05)、『地球が凍りつく日』(06)や、
『ネズミ・ゾンビ』(06)のジム・マイクル監督による終末ヴァンパイア・ホラーの快作
『ステイク・ランド 戦いの旅路』(10)等でも腕をふるっている。
そんな彼の経歴を考えると、納得といえる得体の知れない殺人者の描き方もポイントだ。
▼Stake Land - Official Trailer [HD] - YouTube
●エピソード"THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGE"
恋人同士のエミリーとジェームズは現在遠距離恋愛中で、Skypeでその距離を埋めようとしていた。
エミリーは最近腕にできた妙なアザと、室内から聞こえる奇妙な足音のことを話すが、
ジェームズは元気づけるしか術が無い。
そんあある晩、ジェームズはエミリーの映像の片隅に、いるはずのない子供が映っていることに気付き…
というのが、ジョー・スワンバーグ監督の
“THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGE”。
Jホラーにも通じる落ち着いた心霊描写を活写しつつ、
腕にできたアザを巡っての部分では生理的嫌悪感を120%抱かせる描写で魅せ、
そのあたりの落差がまた独特の魅力になっている。
個人的には本作ではじめて知ったジョー・スワンバーグは、
資料によれば『Silver Bullets』(01)というホラー作品も撮ってはいるが、
専らコメディやラブ・ロマンスジャンルで作品を発表しているインディーズ・クリエイターとのこと。
それでも、個人的には二番目にゾクゾクさせてくれたのがこのエピソードだ。
●エピソード"10/31/98"
ハロウィンの晩、悪友4人組は怪異が起こると噂される一軒家に忍び込む。
ところが無人と思われたその家の屋根裏で、
縛られた少女を中心に男たちが得体の知れない儀式を行っていたのだ。
4人組は少女を助けて、その場から逃げようとするのだが…
というのが“10/31/98”。
家具が襲い、人がぶっとばされetcと派手な怪異が、体感的に楽しめる一編。
監督・脚本・製作のみならず出演もしているレイディオ・サイレンスは、
マット・ベティネリ・オルビン、タイラー・ジャレッド、ジャスティン・マルティネス、チャド・ビレラの4人からなる映像クリエイター・ユニット。
Chad, Matt & Robとしてネット配信したファウンド・フッテージ短編作品が大評判となり、本作に抜擢されたそうだ。
▼Roommate Alien Prank Goes Bad(08) - YouTube
てな感じで全6エピソードをざっと紹介してきたが、
この『V/H/S/シンドローム』、
作品全編通して観ると、POVという共通手法の中で、
その個性が存分に発揮されたエピソードもあれば、
ちょっとそこに埋もれちゃったかな?と思えるエピソードもある。
また、全編ゆれゆれ一人称撮影がやはり体感的に辛いと感じる方もあるだろう。
ただし、米=日共にR-18指定というレイティングは伊達じゃなく、
ゴア・シーンの密度は相当なものなので、
直接的なホラー好きなら、外すことはできない一本だ。
なお、先に少しふれたが、本作の好評を受けて続編『V/H/S/2』(13)が製作され、
この7月に米国で公開されている。
同じく全6話構成で、新たに参加する
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)のエドゥアルド・サンチェス&グレッグ・ヘイル(製作)、
『ホーボー・ウィズ・ショットガン』(11)のジェイソン・アイズナー、
『ザ・レイド』(11)のギャレス・エヴァンス、
『マカブル 永遠の血族』(09)のティモ・ジャイアント、
といった前作より気持ち豪華目な面子に加え、
アダム・ウィンガード、サイモン・バレット(本作では脚本)が本作から続投し、
よりハードでゴアリーな作品に仕上がっている模様。
▼V/H/S/2 Official Green Band Trailer #1 (2013) - Horror Sequel HD - YouTube
こちらも本作と同じく、クロックワークスの配給で来年1月の公開が予定されているので、
この新たな恐怖の潮流に乗り遅れないように、まずはこの初作を劇場で体感して欲しい。
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『V/H/S シンドローム』
V/H/S
2012年/アメリカ/116min
提供:クロックワークス=パルコ配給:クロックワークス
2013年7月13日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー!
(C)Copyright 2012 8383 Productions. All Rights Reserved.
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