出演俳優のインタビューとかは一切のってないし、
やけに軽くて薄いのに800円もとられるパンフレット。
それに大月プロデューサーのメッセージとしてこうある。
”「私は風采が上がらない中年男が一念発起して強くなる、
もしくはやる気を見せる映画が好きである。」
この映画はクリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』に着想を得た”
あぁ、車がバイクに変わったのね。
上映前に映画館の薄暗がりでパンフを読みながら、俺はそう嘯いていた。
『電人ザボーガー』は、「スペクトルマン」など、
子供心に「ウルトラマン」などとは明らかに一線を画した印象を残す作品を
連発したピープロ製作のTVドラマであり、その映画化である。
74年当時、今は亡き山口暁氏の熱すぎる(何もそこまで…という気合のこもった掛け声)演技とアクション、
どこか妙な敵ロボットのデザイン…など、
なんで今、ザボーガーなのか俺には分からなかった。
(C)2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ
菊池俊輔の軽快なアクションBGMのアレンジ、
2011年になってもっと熱っくるしくなった大門の掛け声と、
CGで見せるザボーガーの変形に、
どう考えても奇妙なロボットの攻撃を見せながら、
かっこよく映画は滑り出す。
(C)2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ
ところが…である。
行き過ぎた正義感と童貞精神そのまんまでザボーガーを泣かせた(←ここ必見)挙句、
爆死(?)させてしまった後の、板尾版大門に話が移るや、
映画は他人事とは思えない悲壮感を漂わせはじめる。
まるでアメリカ映画「ウォッチメン」じゃないが、
否定された、行き所を亡くした元ヒーローのひたすらだらしない中年期がメインとなる。
(C)2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ
住所不定でジーパン姿にヘルメットで就職もままならない糖尿病男に、
なんと隠し子が現れて…って、
まるで唐沢なをきセンセイの“中年悲哀ロボット漫画”が原作かよ!
とつっこみを入れながら、映画は宿命の対決へとなだれ込むのだ!
…と、ここで冒頭に戻る。
そういえば『グラン・トリノ』のイーストウッドも、実は大人になりきれない老人だった。
自己中だった。
その男が避け続けてきた“他人との関わり”をあえて選ぶことで、今更成長する話でもあった。
そのきっかけを作ったのは車だった。
本作はバイクだ。
(C)2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ
止めない、諦めない、立ち止まらない。
40男は考え方一つで未来を変えられる。
きっかけがあれば世界が変わる。
オリジナルを知っていればそのザボーガー愛に心打たれ、
オリジナルを知らなくても根拠のない中年賛歌に心打たれる。
超ハイテクあなろぐ映画。まじ必見。
そして映画を見た人なら燃えることこのうえない映画版主題歌も必聴!
▼Ustream.tv: ユーザー hakuryukan: 高野二郎「電人ザボーガー」@白龍館, 白龍館ライヴ 09/17/11 21:58 高野二郎(歌). その他
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