【サントラ天国】映画『スタートレック』の音楽を語ってみるのだ! Part.1

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拝「今日はフツーにカレーなのだ」

武「まだ原稿あげてませんよ」

拝「たまにはいいのだ」

武「そういえば今年は『スタートレック』(09)の続編が公開予定ですね」

拝「『アベンジャーズ』もあるし『ウルヴェリン』続編も旨く行けば…。楽しみな一年なのだ。そういえば武井くんは結婚式でスタートレックかけなかったっけ?」

武「悩んで結局ベン・ハーにしました。スタートレック・愛のテーマもよかったんですが」

拝「愛のテーマとかいうとシングルのB面の定番みたいだな」

武「そういえば、いつだったかスタートレックの音楽について書きかけてやめちゃってたみたいなんで、今回はドーンとスタートレック・愛のテーマでいってくださいよ。お願いしますよ」

拝「2つで充分ですよ。分かってくださいよ…とか続きそうなノリだなぁ」

さて、ここでいう「スタートレック・愛のテーマ」とは劇場版第1作目の、アイリーアのテーマのことである。まぁ愛のテーマでも通りそうなくらい美しい曲なのだが。



劇場版第1作「STAR TREK THE MOTION PICTURE」(79)は、ファンの間では略してTMP。
「未知との遭遇」「スターウォーズ」に始まるSFブームの中でも、最大級の制作費を投じた期待の大作だったが、専用のカメラやらなんやらの準備にばかり時間がかかりすぎて、特撮監督がくびになったり、完成したら戦闘シーンの殆どない意外と退屈な映画だったり、TVシリーズのファンから不評の声が相次いだりと結構叩かれた映画でした。

記憶では、確か銀座の松竹セントラルで観たような気がするし、パンフが当時で800円と高価だったりしたが、一番驚いたのが一向に映画が始まらないことだった。

50?60年代のそれこそ「ベン・ハー」とか大作では必ず「序曲」という本編開始前に音楽だけを流すことが多かったのだが、「TMP」は80年の映画でそれをやったのである。
しかも勇ましい曲ではなく、優雅で美しいことこのうえないこの序曲が「アイリーアのテーマ」で、そのあと漸く新生スタートレックのテーマ、続いて勇猛なクリンゴン艦隊壊滅の曲へと続くのであった。

今、思い返すと殆どアクションシーンや戦闘シーンがなく退屈したのを憶えている。まぁ序曲に愛の…じゃないアイリーアのテーマをかけたくらいだから「これはスターウォーズとは全然違うタイプの映画ですよ」と宣誓していたのかもしれない。

後にSF映画ファンやサントラファンの間でも「SF映画史上最も美しい曲」と言われることになるこの音楽をつけたのはジェリー・ゴールドスミス(2004.7没)。
古くは「パピヨン」「スウォーム」「2300年未来への旅」「世界が燃え尽きる日」から「スーパーガール」「氷の微笑」「トータルリコール」など、アクション、SFをやらせると独壇場、独特の音色でファンも多い作曲家だ。

本来であればTVシリーズの延長で、TV版の作曲家アレクサンダー・カレッジとくるところだろうが、やはり「スターウォーズ」への対抗意識もあるだろうし、何よりスケールのでかいスクリーン映えする音楽をプロデューサーが欲したのだろう。

また、当時ファンの間では不評だったようだが、TVシリーズのテーマを殆ど使わず映画オリジナルの曲を書き下ろしたのも、やはり映画への想いいれがあったのだろう。

アクションが得意なゴールドスミスだが、燃え系の音楽は殆ど「クリンゴン艦隊全滅」の1曲といっても過言ではなく、シンセサイザーを使わずにそれっぽい機械的な音楽(弦を張った金属パイプ。俗にビームと呼ばれる)で謎の存在を表現している。

随所に”ギロローン♪”と独特な音が聞こえる辺り(このあたりの手法は続編「カーンの逆襲」を担当するジェームズ・ホーナーも相当影響を受けている)ゴールドスミスでしか表現できない音楽が随所に聴ける。

そして何より素晴らしいのは、改装を終えたばかりでピカピカのエンタープライズ号へ、カーク提督が乗り込むまでのゆったりとした音楽。この映画のハイライトともいえる。

輸送艇に乗ったカークとスコットがドックへ接近するまでのどこか不安げな音色が、ようやくエンタープライズ号の全容が見えてくるや、歓喜に顔を明るくするカークにあわせるように華やかなファンファーレに変わる。
優雅でいてどこか緊張感も忘れないエンタープライズ号の出航シーンも含めて、ノリとかテンポではなく終始ロマンチックな曲で貫くあたりは「宇宙。そこは人類最期のフロンティア」というスタトレのテーマにあまりにハマりすぎではないか。

地位は提督とはいえ、地上勤務じゃただのめんどうな親父にすぎないカーク。エンタープライズに乗ってなきゃただの宇宙の腕白オヤジ。玩具をとりあげられてくさっていたであろうカークの前にエンタープライズ号が姿を現すや子供のように目を輝かせるあたり、船と男という図式はさながら日本でいえば、ヤマトと古代進、アルカディア号とハーロックみたいで、もう涙ものであります。

…とベタ褒めなのだが、公開当時は派手な曲が少ないのであまりこのサントラを聴いていなかったというのが真実。歳をとるに従って良さがジワジワと浸透してくるところが、この音楽の凄みなのかな…と思う。
ハッキリ言ってエンタープライズ発進までのシークエンスは殆どBGVだもの。

実際、続編からはかなりテレビシリーズよりの展開と音楽に変わり、ゴールドスミスが再びスタートレックに帰ってくるのに役10年の歳月を要することになる。
劇場版シリーズ5作目「新たなる未知へ」(89)がそれだが、これまたシリーズ屈指の評価の低い作品である。

1作目とは異なり、シリーズに一旦オチがついた後の番外編的な作品(2から4までは実質連続ドラマ)なことや、1作目のような志も高くはないせいか、いつものゴールドスミスのアクションスコアが聴けるものの、同時期のゴールドスミス作品「ランボー3/怒りのアフガン」(88)(こっちが怒りたくなる出来栄え)とかに似通った曲も多くイマイチ感は拭えない。

拝「旧キャストの劇場版は6作で完結。「新スタートレック」(ハゲが艦長のやつね)の劇場版第2作で、7年ぶりにゴールドスミスは復活することになるんだけどね…。あぁ我ながら長くなってしまったので続きはまた今度…ということで」

武「良く喋りましたね。よっぽど好きなんですね」

拝「年末年始はワイン片手にこいつを聴くのが習慣になりました」

武「ワインは似合いませんね」

拝「そちらのドーンとした原稿もよろしく」

武「はいはい」


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