ストップモーション・アニメによるモンスタームービーの神様とも言える、レイ・ハリーハウゼン。
コンプリート・レイ・ハリーハウゼン―ファンタジーSFX映画の世界
日本でも熱心なファンが多く、「シンドバッド七回目の航海」(1958)や「アルゴ探検隊の冒険」(1963)といった、その作品は今尚エヴァーグリーンなモンスタームービーの名作として、多くのファンに愛されています。
1980年の「タイタンの戦い」を最後に、アニメーターを引退しているハリーハウゼンですが、その後も公演活動、映画へのカメオ出演(「スパイ・ライク・アス」(1985)や「マイティ・ジョー」(1998)など)、関連書籍への協力など映画人としての第二の人生を精力的に送っています。
2004年には、夫人であるダイアナ(旧姓リビングストン)の先祖に当たる19世紀の著名な探検家デイヴィッド・リビングストンの銅像(スコットランドのリビングストン博物館に設置)のデザインを担当し、映画界以外でも意気軒昂に活動中です。
▼David Livingstone sculpture by Gareth Knowles - YouTube
そして、遂に現在90歳になるハリーハウゼンの生涯を追ったドキュメンタリーが製作され、近々完成する模様というニュースが先頃入ってきました。
その名も「Ray Harryhausen: Special Effects Titan(レイ・ハリーハウゼン: 特撮の巨人)」。
監督はTVでドキュメンタリー番組の演出や脚本を手掛けている、フランス人のギレス・ペンソです。
ハリーハウゼンは、1986年に自身の作品の著作権や撮影に使用した貴重な道具の数々(アーマチュアなど)を管理する、「レイ&ダイアナ・ハリーハウゼン財団」という組織を設立していますが、この財団が製作に全面協力し、フランスの製作会社フレネティック・アーツによって、約5年間に渡る関係者へのインタビューや近年ロサンゼルスのハリーハウゼンの自宅のガレージ(!)から発見された、未公開のテスト・フィルムやモデルやアートワークの数々も収録されたファン垂涎の内容ということです。
ネット上では、予告編も観ることが出来ますが、出てくるメンツが凄過ぎ!
ピーター・ジャクソン、ジェームス・キャメロン、スティーブン・スピルバーグ、ティム・バートン、テリー・ギリアム、ジョン・ランディス、ジョー・ダンテ、ジョン・ラセター、ギジェルモ・デルトロといったハリーハウゼンをリスペクトする映画監督達。
リック・ベイカー、ランディ・クック、スティーブ・ジョンソン、デニス・ミューレン、フィル・ティペットなど"ハリーハウゼン・チルドレン"とも言うべきモンスター・エフェクツクリエイター達。
ニック・バーグ、ヘンリー・セレックなどのストップモーションアニメーター達。
そして、「恐竜100万年」(1966)の女優マルチーヌ・ベズウィックや「シンドバッド黄金の航海」(1973)のヒロインであるキャロライン・マンローまで!
娘さんであり、ハリーハウゼン財団の役員でもある、ヴァネッサ・ハリーハウゼンが「父ハリーハウゼンを語る」なんて映像なんて、恐らく他では見られないでしょう。
昨年辺りから製作に関するニュースはネット上でも飛び交っていましたが、昨年11月8日に、イギリスのブラッドフォードで毎年開かれている「ブラッドフォード・アニメーション・フェスティバル」で世界初公開されました。
この作品は基本的にはフランス映画なので、予告編でも観た通り英語のコメントにフランス語の字幕がついていますが、現在英語版も鋭意製作中で今年中には完成する予定です。
英語版が完成すれば、より多くの国で上映し易くなりますから、日本でも公開される可能性も無いわけではありません。
現在のところ、この作品が日本で上映されるかどうかは何の情報もありませんが、ハリーハウゼンを愛する事では他国に決して引けを取らない我が国での公開を是非関係各位(どこ?)に熱望、いや激望したいと思います。
この映画を観たいと思っているあなた!
ブログやtwitterなどメディアをお持ちなら、ぜひネット上でも声を上げましょう。
この映画を日本公開されますように、それが難しいなら、せめてDVDやブルーレイが出ますように、と。
そして、ハリーハウゼンに関するニュースは、これだけではありません。
オールドファンは覚えている方もいるでしょうが、「シンドバッド虎の目大冒険」(1977)の後、ハリーハウゼンはシンドバッドシリーズ第四作として、「Sinbad goes to Mars(シンドバッド火星へ行く)」という作品に取り掛かる予定でした。
しかし、この作品はコンセプトアート段階で中止になり、替って「タイタンの戦い」が製作されたのです。
その幻の企画が、実に30年以上経った今年、復活するのです!
そのタイトルは「Sinbad: Rogue of Mars(シンドバッド:火星のならず者)」。
今年中の公開を目指して、現在制作に入るという情報が入ってきました。
ハリーハウゼンの盟友として、その作品のプロデューサーを務めていたチャールズ・シュニアの甥(チャールズの兄ジャックの息子)だというバリー・シュニアが製作総指揮を務め、「伯父の素晴らしい遺産を受け継ぐ事が出来て、とてもわくわくしています」なんてコメントも出しています。
製作は、バリー・シュニアが取締役を務めるモーニングサイド・エンターテイメント。
「エスケープ・フロム・L.A」(1996)、「バットマン&ロビン:Mr.フリーズの逆襲」(1997)、「スターシップ・トゥルーパーズ3」(2008)などに参加したSFXマンであり、コミックライターでもあるポール・J・サラモフが脚本を担当します。
何と、この作品は三部作の一作目として構想され、3D映画として撮影されるとのことです。
実は、近年ハリーハウゼン作品のコミカライズの精力的に出版しているブルーウォーター・プロダクションより、原作コミックも既に昨年から発刊されていますが、シンドバッドと仲間達が邪悪なジン(妖精)の魔法で火星に飛ばされて、火星人達と出会うというストーリーです。
この続報にも期待しましょう!
▼Ray Harryhausen : Special Effects Titan (new teaser extended version) - YouTube
コメントする
※ コメントは認証されるまで公開されません。ご了承くださいませ。