どもども、殿井です。
まだ書くことがあるのか?と言われそうな『ピラニア3D』集中講座ですが、一番大事な事にまだふれてなかったんですよ。
それは、そう、女の子の話題です♪
高校生のジェイ(演じているのは、“スティーヴ・マックイーンの孫”が売りのスティーヴン・R・マックイーン)は、
湖畔で知り合ったAV監督デリックから湖での撮影のガイドを頼まれ、
お楽しみ妄想で爆発寸前。
自分の部屋でデリックのサイトを見てにやけていたら、
町の保安官である母親ジェリーが突然部屋に入ってきて、
慌てふためくジェイに告げる。
「私、明日は大忙しだから、弟と妹の世話をお願いね」
このシチュエーションで悶絶しかけたら、貴方は同士だ!というわけで、
女の子と言っても
ジェイのガール・フレンドを演じているジェシカ・ゾアとか、
超エロいビギニ姿でAVモデルを演じているケリー・ブルックとか、
その他やたらでてくる水着のおねーチャンたちの話題ではありません。
彼女達も見てる分には楽しいけれど、
わざわざ回をあらためてまで書くほどじゃないでしょ。
そう本作のヒロインは間違いなく、
80年代は美少女アイドルとして一斉を風靡した
エリザベス・シュー嬢なんだから!
( “元”女の子だった(笑))
シュー嬢はハーバード大学在籍中の
84年に『ベスト・キッド』のヒロイン役で、スクリーン・デビュー。
80年代は『カクテル』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2&3』等のメジャー作に出演。
最近流行の“肉食系”とは正反対と言うか、
オール・アメリカン・ガールでありながら、育ちのよさと親しみやすさ、
そしてちょっと知的な感じ(実際に才媛でしたな)をあわせもった正統派美少女スターでした。
なんか、実際には絶対ありえないんだけど、
それこそお隣に棲んでても不思議じゃないような感覚?
でも、ちょっと変わった趣味も持ち合わせていたようで、
『リンク』では高い知能を持ったチンパンジー“リンク”の世話をしていくうちに、リンクの興味の対象とされ恐怖しながらも反撃していく女子大生を好演し、ジャンル・ファンからも喝采を浴びたものです。
劇中、シュー嬢が入浴している風呂場のドアを開け、
しげしげと彼女の裸身を凝視するリンクにファンなら誰でもなりたいと思ったはずだ!(但し、この場面のロングで撮られたヌードはシュー嬢のダブルですが)
作品的にもコミカルかつサスペンスフルで、これが日本でDVD化されてないのはちょっと解せない秀作ですな。
▼LINK: Movie Trailer
その後も暫くは、美少女属性での役が続いたシュー嬢ですが、
95年の『リービング・ラスベガス』で、それまでのイメージを覆す娼婦役を熱演。
受賞こそ逃したものの、オスカーの主演女優賞候補となるなど、
演技面でも高く評価されました。
でも彼女が偉いのは、そこで特に演技派への転向を図るでもなく、娯楽作からアート系の作品まで幅広い作品で演じ続けているということですね。
だから本作やケヴィン・ベーコン演じる欲望と狂気に憑かれた学者の元恋人で同僚という役どころで、あわや透明人間にレイプか!(実は彼女の見た悪夢でした)というサービス・ショット付で後半は透明ベーコンとバトルを繰り広げる『インビジブル』とかにも嬉々として出演くれちゃうわけですよ!
そんな彼女の美少女時代の魅力が200%発揮された、まさに奇跡といってもいい1本が87年の『ベビーシッター・アドベンチャー』。
楽しみにしていた彼氏とのデートをドタキャンされ、さらに追い討ちをかけるようにベビー・シッターに行かされることになった女子高生クリス。
仕方なく、彼女に憧れる年下の兄とこまっしゃくれた幼い妹の子守をしているクリスの元に「家出をしたから迎えに来て!」と親友からのSOSコールが。
兄妹と強引についてきた兄の悪友の3人を車に乗せ、
夜の街に出た彼女達に、車のパンク、謎の鍵詰め男とその妻の間男騒ぎ、
そして迫り来る自動車窃盗団と次から次へとアクシデントがふりかかる。
はたしてクリスたちは、兄妹の両親が戻るまでに無事に家に帰ることが出来るのか!?
そんな無茶なと思う部分も含め、
連鎖していくアドベンチャーと様々な小ネタがかっちりくみあわさって、
ハラハラしつも予想通りの結末へと見事に収束する語り口も最高で、
本作が監督デビュー作となるクリス・コロンバスも、
これを超える閃きと輝きのある作品は撮れてません。
同ジャンルでも『ホーム・アローン』なんか問題外だし、
『ハリポタ』1作目だって、この幸福感には敵わない。
それなのに、この作品も日本でDVDになってないなんて、関係者は万死に値する!!
とりあえず、未だビデオがおいてあるレンタル屋で探すか、
気長にTV放映の機会を待つかしかないのが現状なので、
youtubeで見つけてきた動画を貼っておきましょう。
まずはオープニング・タイトル。“Then he kissed me”にあわせて、
勝負服に着替えながら、デートへの期待で幸せいっぱい、軽やかに歌い踊るシュー嬢。
▼Adventures in Babysitting
このあとで、彼氏からドタキャンくらい、
母親からはどうせ暇ならと近所の子守を命じられるわけですね。
長々と直接『ピラニア3D』と関係ないことを書いてきましたが、
そんなシュー嬢が、本作では長男に子守を命じてるわけですよ。
お肉のつき具合もプニョプニョから気持ちタップンタップンに変わり、
流石に最早美少女と称するには(ほんのちょっと-笑-)無理があるかもしれないシュー嬢ですが、
彼女自身は作品と実年齢がクロスするようにいい感じで歳を重ねてきてるし、そんな彼女と彼女の過去の代表作を意識した実に美味しい場面ですな。
さらに『ベビー・シッター・アドベンチャー』からこれこそ本作の白眉。
自動車窃盗団に追われてブルース・バーに逃げ込んだクリスたち一行は、
ライヴをしていたアルバート・コリンズから
「ブルースを歌わなきゃ店を出さない」と言い渡されて、
即興でその夜の顛末を歌う“Babysitting Blues”です。
▼Adventures In Babysitting - Babysitting Blues
Adventures In Babysitting - Babysitting Blues 投稿者 goldrausch
最初に『ピラニア3D』のヒロインがシュー嬢だと聞いたときには、
「オリジナルの自己中調査員役?だったらちょっと…」
と思ったりもしましたが、前回書いたとおり物語は刷新され、
彼女は等身大に逞しい女保安官で、よかったなぁと。
脱ぎこそその他大勢に任せてますが、制服を脱ぎ捨てて濡れたタンクトップ姿でピラニア軍団と戦うその姿も大人の魅力で悪くはないかなぁ。
いや、もう“Babysitting Blues”を歌った頃を過ぎても、
やっぱりエリザベス・シュー嬢は最高なのさ!
そうそう、本作で釣り屋の親父で市井の魚研究家、ピラニアの正体を提示するグッドマン氏を演じているクリストファー・ロイドとは、
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2&3』のドックとジェニファーの年月を経た再共演でもありますね。
もっとも、PART2ですぐにドックに眠らされちゃって、
途中チョコットうろつく位でPART3の終わりの方まであまり活躍する機会の与えられなかった『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2&3』は、
メジャー作であってもシュー嬢度的にはあまり高い作品じゃなかったけどね。
…と、どこが『ピラニア3D』集中講座やねん!的に、
別方向に向かった第3回で最終回ですが、
最後に、今後のピラニアの傾向と対策について簡単に書き添えて幕にしたいと思います。
業界大手のディメンション・フィルムズが製作し、
とりあえず本作の公開にあわせる形で、ハリウッド話題作の拙速模倣作品“モックバスター”工房として好事家からは注目されているアサイラムも『メガピラニア』をぱぱっと作っちゃっうくらいに、話題作だった本作。
本国での評判は賛否両論だったようですが、やはり理屈抜きにひでーことがこれでもかとばかりに見世物として展開する作品を楽しんじゃうのが吉でしょう。
実際興行的にはしっかり成功をおさめたようで、
現在続編『Piranha 3DD』も製作中。
脚本は本作のピーター・ゴールドフィンガー&ジョシュ・ストールバーグというコンビ(彼らは本作の前に、80年台スラッシャー『スプラッター・ナイト 血塗られた女子寮』のリメイク版、『スプラッター・ナイト 新・血塗られた女子寮』の脚本も書いてるようで、やはりジャンルの申し子のようですな)が担当し、
監督としてはこちらも悪ノリぶりではアジャにひけをとらない、
“フィースト”シリーズ3作のジョン・ギャラガーがメガフォンをとっているので、
B級感と悪趣味ぶりににより一層の拍車がかかりそうで期待ですな。
▼Piranha 3DD (2011): Official Teaser-Trailer - YouTube
それでは『Piranha 3DD』集中講座で、またお会いしましょう!
(…って、勿論それまでは他のネタを書き散らかしていきますが-笑-)
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