武井「拝さん、もしかしてとは思うんですけれども…
あれ、注文してないでしょうね?」
拝編集長「何を?」
テーブルの上には、飲み物しかなかった。これは多分…
「?カレーライス?頼みませんでした?」
「よくわかったね!さっきまで店員ともめちゃって。
大体、なんで居酒屋にカレーライスが無いんだろう」
やはり思った通りだった。
確かに、前回までのブログに、良かれと思って面白半分に
打ち合わせ中のメニューの事を書いた。
だが、それを読んだ編集長は、書かれる事を意識しだして
わざわざ無理な注文をするようになったのだ。
?カレーライス?と言えば、今回取り上げる
『太陽戦隊サンバルカン』のスナックサファリの人気メニューである(強引だなぁ)。
「そういえば、カレーライスが居酒屋メニューに載る事、
あまりないですね。」
「いかんのだ、それは。カレーライスは、日本の伝統文化なのだ!
そうに違いない」
と、編集長は、カレー文化論らしきものを熱く語り出した。
どれだけカレー好きなのか…
実は、この間行った和○み亭で、夏カレーがメニューにあったので、
美味しく食べた事は、面倒くさくなるのでここでは内緒だ。
『太陽戦隊サンバルカン』は、1981年2月?1982年1月まで放映されたスーパー戦隊シリーズの第三弾(現在は第五弾とされている)。
『太陽戦隊サンバルカン』の大きな特徴は、
ヒーローが三人という少数精鋭な構成と、
ヒロインが表立って戦わないという事だろう。
非常にシンプルな構成である。
ヒロイン二人体制の現在では考えられない。
この作品に、岸田森はサンバルカンを取りまとめる嵐山長官役として一年間レギュラー出演した。
地球守備隊の最高司令だが、普段はスナック「サファリ」の気さくなマスターという二重生活が見どころだった。
マスターの時には、わざとぞんざいな口調で振る舞い、
一旦基地で長官となるとサングラスをかけ、重々しい口調も変わる。
この変身ぶりが、あまりにも鮮やかだった。
武井「もう、岸田森の存在感は物凄いです。
登場シーンは少ないのですが、
サンバルカンよりも目立っていました。」
拝「カレーに凝っていたり、
ベーゴマとかヨーヨーなんかで子供と毎回遊んでいたり。
そういえば、最初の頃滅多矢鱈と変装していたよね。
覚えているのでも、能楽師とか医者とか釣り人とか…
確か、ロボットに扮装なんてのもあったはず」
(↓嵐山長官の珍コスプレ写真についてはこちらのブログさまをご参照下さい)
▼岸田森が好きだ その17 - 死して屍拾うものなし
「シリーズ前半は長官が前線に立って大暴れでした。
後半はスケジュールの都合でしようか、
あまり登場シーンが多くありません。」
「でも、確か最終回では、岸田森がサンバルカン達を差し置いて、ラスボス倒したんじゃなかったっけ?」
「はい。バルカンスティックで?全能の神?を一撃です。
あれを見た時には本当にびっくりしました。」
「それだけ、存在感があったんだ。
脚本家も、ついそう書かざるを得なかった。
うん、そうに違いない。で、
?岸田森的視点?で言うとどうなの?」
岸田森の演技を見て行くと、
スナックのマスターの時の演技がかなり凝っていて見どころだった。
もちろん、長官の時の厳しい雰囲気は見事だが、
ある意味岸田森にとって得意な演技だったはずだ。
だが、若手俳優たちを立てなくてはいけないスナックのマスターの時は、
ある意味受け身で、しかも存在感を出すという、熟練の演技を見せている。
よく見ていると、セリフが無い時に実に色々と細かい演技をしている。
自分にカメラが向いていなくて、画面の端にちょっと写っているような時でも、まったく手を緩めていない。
とある俳優が「あんなベニヤ板みたいなセットなのに、きっちり演技してますよね。仕事に文句なんか言ってられないなあ」と話してくれた事がある。
それくらい、出番が少なくても手を抜いていないのだ。
話は変わって「東映まんが祭り」で『太陽戦隊サンバルカン』の劇場版が公開されている。
テレビ作品の再編集ではなく、オリジナル版を律義に製作している事が嬉しい。
シリーズ中盤の、大掛かりなキャスト入れ替えを反映した作品となっており、行動隊長、自称?銀河無宿?アマゾンキラーが迫力満点な作品だ。
岸田森の出番は少ないが、やはりテレビシリーズと同様、
二つの役の落差のつけ方は見事。
相手の話を背中で聞きながら、
セリフの時には振り返って話し出す得意の演技も見事に決まっている。
拝「そういえば、昔のスーパー戦隊ものの司令って、
岸田森に限らずツウ好みの配役、多かったね。
『超電子バイオマン』の中丸忠雄さんは結構お気に入りなのだ。
これぞツウっていうキャスティングでしょ」
武井「『バトルフィーバーJ』の東千代之介にはびっくりしました。
往年の大スターがレギュラーで出て来たんですから。
撮影所の人は、撮影当日なのに、本当に来てくれるのか?
と思っていたほど意外なキャスディングだったらしいです。」
「ほかにも、凄い人いたよね。」
「『科学戦隊ダイナマン』の島田順司さん、
『電撃戦隊チェンジマン』の藤巻潤さん、
『大戦隊ゴーグルファイブ』の仲谷昇さん、
『光戦隊マスクマン』の谷隼人さん…
特撮とは無縁の人をキャスティングしています。
そういう意味では岸田森さんは異例かなと。」
「沖田総司に「ザ・ガードマン」に「カノッサの屈辱」に「キーハンター」…
こう並べてみると凄いキャスティングだね。まさにツウ好み!
こういうの好きだなぁ」
そう言いながら、拝編集長は料理を頼もうと店員を呼びとめた。
「カレーライスが無いのはわかったから、何か料理を…魚料理はあるの?」
店員は、メニューの魚料理の所を指示してくれた。
「拝さん。もしかしてとは思うんですけれども…
今頼もうとしているのは”カレイの煮つけ”ですか?」
「君はエスパイか!」
「いや…多分、そうじゃないかと思っただけで…」
そこまでこだわるかとは思ったのだが、これ以上言うのはやめた。
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