こんにちわ。殿井です。
8月はホラー目白押しで嬉しい予感でいっぱいですが、
その前に前回の続き、そう!
Naeこと裕木奈江について書かねばいけませんね。
裕木奈江のハリウッドデビューは『硫黄島からの手紙』(06)で。
続いて出演した、
デイヴィッド・リンチ監督の『インランド・エンパイア』(06)。
奈江は当初台詞のない役として採用されたそうですが、
その存在感がリンチに気に入られ、長さとしては10分程度ですが、
ナイフで刺されたローラ・ダーンの傍らで
ヴァギナに穴のあいた友達のことを話す
ストリート・ガール役を好演。
個人的には『インランド?』の初見時は、
彼女が出演していることを知らずに見ていたんですが、
近寄りがたい美人というよりは、
幼さの残っているようなどこか“不思議ちゃん”系の持ち味が
すっかりリンチ・ワールドに馴染んでいて、
彼女を主演で一本撮ってもらいたいと思ったものです。
前回取り上げた『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』の
プロデューサー、イングヴァール・ソルダソも、
やはり『インランド?』の奈江を見て、
本作へのオファーを思い立ったそうです。
(↓こちらの動画では奈江自らそのオファー話を語っています)
▼裕木奈江さん 超性悪女に挑戦!アイスランド初のホラー映画- YouTube
実際『インランド?』そして『レイキャビク?』で
奈江がホラー・ファンの注目すべき存在になった
との感想をよくきくようになりました。
そんな人なら見ておいて損のない奈江の旧作を
2つほどピックアップしてみましょう。
●『おしまいの日。』(00)
新井素子原作のこの映画では、奈江は保険営業マンの夫を愛する妻に扮し、
多忙な夫を気遣い、孤独をつのらせるうちに、
その言動に不審さが見られるようになっていきます。
妻は精神を病んでしまったのか?
彼女にしか見えない“幻覚”ならぬ“幻猫”(原作を読んだのは遥か昔なので、
その記憶は定かではないですが、いかにも原作者の新井素子らしい表現ですな)
に困惑する儚げで空ろな様子と、
エピローグのロングショットでみられる晴れ晴れとした姿の対比は、
ちょっと『レイキャビク?』での彼女の原型っぽい感もあります。
●『多重人格探偵サイコ/雨宮一彦の帰還』(00)
そして大塚英志の原作を、特殊メイクによる惨殺場面もふんだんに盛り込み
(まぁ、ボカシをかけられちゃったけどね)、
三池崇史がWOWOWでミニ・シリーズ化した
『多重人格探偵サイコ/雨宮一彦の帰還』(00)では、
奈江は“第2話 世界制作の方法”のメイン・ゲストとして登場。
ネットや通信を媒介にして乗り移った相手の殺人衝動を開放する
シリアル・キラー、西園伸二の凶行と謎に迫るシリーズですが、
生まれてしまえば母親にはなんの価値もないと、邪気の無い表情で言い放ち、
バタフライ・ナイフサバキも鮮やかに胎児の臍の緒を切断!
妊婦の赤子を奪う保母を怪演しています。
自分の中の他人を感じ、
トイレで嘔吐しまくり、床を這いずりまわる姿は、
『ポゼッション』(81)のイザベル・アジャーニを髣髴とさせるものでした。
どちらも機会があれば必見の作品ですね!
(関連動画)
▼インランド・エンパイア 予告編 - YouTube
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