俳優の原田芳雄(71)さんが、
7月19日都内の病院で死去されました。
遺作は「大鹿村騒動記」ということになるわけですが、
私の中では今は亡き西村寿行の映画が似あう俳優
ハードボイルドとかバイオレンスの匂いが似あう俳優さん
という勝手な思い入れがありました。とにかく黙祷。
しかし、およそこのブログに似つかわしくないというか、
いわゆるSF、特撮系の映画に出てないんだなぁ。
あのイーストウッドでも間違って2本くらいSF撮ってるのに…。
原田さんといえば
TV「西部警察」最終回のテロリストの親玉、
「竜馬暗殺」(74)の竜馬、
「君よ憤怒の河を渡れ」(76)の猟犬みたいな刑事など、
どちらかというと一匹狼がよく似合う俳優さんでしたが、
あえて俺様ベストワンを上げると、
何故か五社英雄監督の「闇の狩人」(79)が浮かんでしまう。
東映の「柳生一族の陰謀」(78)のヒットにあやかりたかった
松竹時代劇の2本目で、原作は池波正太郎。
記憶を失った侍と、彼をかくまう元盗賊や香具師の元締めとの交流を描いた
人情味あふれる原作を、江戸の闇の世界(つまり仕掛け人)の抗争やら、
偉い侍の陰謀やら、過去の因縁やらでがんじがらめにした
大江戸バイオレンス絵巻にしてしまった快作(怪作?)。
ここで原田さんが演じたのが、
元侍で記憶を失ってからは仕事人の用心棒を務める谷川弥太郎。
ケレン味あふれる五社映画らしく、斬り合いの凄絶さは半端なく、
特に弥太郎が雨の中仕事を仕掛ける殺陣は凄絶を極める。
飲み屋で酒を吹きちらした障子紙を幾重にも結ったものを頭に巻き、
下駄もはき捨て袴をまくって仕事に及ぶ。
しかも、相手の潜む屋敷に入ると刀は予備に回し、
小刀をメインにいくつもの障子を体当たりで蹴散らしながら、
一気に殴り込みをかけるという、意味があるのかないのか、
とにかくカッコイイ殺陣を見せてくれていました。
斬るというよりまさにぶっ殺す!
という形容詞が頭に浮かぶ殺しの名シーンです。
ツタヤあたりでレンタル可能ですので、是非一度。
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