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『シン・仮面ライダー』秘密座談会③(終)

ショッカーは中小企業?

浅尾

で、ショッカーの話に戻りますけど、今回のショッカーは、僕に言わせてみたら中小企業の親族会社(笑)

コウモリおじさんとかハチ娘とか、玉座の好きな兄さんとか、各部署が全部親族や縁者で。

で、社長が死んでしまったために、各部署がみんなそれぞれ好き勝手な事やってる。

浅尾

「自分たちの世界を」、「自分たちの幸せを」
みんなに表現しようと思って好きなようにやってて、ショッカーという組織に全く統一感が全くないんですよね。

浅尾

ショッカーの各部署の人たちが「自分の幸せのため」に動いてるっていう事なんだろうけど最終的に何をしようとしているのか?
何を求めているのか?という所が少し弱かったかなと思います。

浅尾

もう一つ言うならば、先ほど山本さんがご指摘されてた

「天国へ行くことがみんなの幸せ。でもある人から言うとそれは地獄なんだ」という緑川ルリ子のセリフ。

あれは親鸞聖人の教えを集めたと云われている『歎異抄』の中の「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」に通ずる。あの世界観が僕には感じられましたね。

まあ、(平たく言えば)カルト集団ですよね(笑)

山本

今回のショッカーは、悪の秘密結社ではなくて、本当に人の幸せを求めて動いているっていう描き方でしたよね。

ただ、その人にとっての幸せが他人にとっての幸せとは限らないっていう…

浅尾

(幸せの)押し付けですよね。
「そんなん、いらんわ!」って言いたくなるような(笑)

原作・石ノ森章太郎の凄さ

山田

石ノ森章太郎さんって天才だよね。

彼の描く(漫画の)主役の動機というか、あるいはその背景というか、実にうまく描いてますよね。
決して底の浅い漫画ではないよね。

浅尾

本当に天才ですよ。
原作の漫画版『仮面ライダー』は物語の背景として、当時社会問題になっていた”公害”等も正面から描いているんですよね。
公害によって不幸になっている人たちとかを直接描いている。

そしてもっと凄いのは、「人間を全部ナンバリングして管轄する」という日本政府の計画があって、それをショッカーが利用しているという。

今の「マイナンバー制度」って、ショッカーが元やったんや(笑)っていう。
もちろん冗談ですが、この原作(漫画)、40年前以上の作品ですよ。
そんな前から「人間をナンバリングする、される恐怖」という概念を持っていたのが本当に凄いなって。

山本

当時、マイナンバーみたいな話はなかったんですか?

金子

SF作品ではありましたね。
管理社会、ディストピアみたいな。

山本

ある意味、それが現実化しようとしているわけですね。

ブラックゴースト的なショッカー

金子

(石ノ森作品で言えば)ショッカー以外にも
 サイボーグ009のブラックゴーストも凄いですよね。

 ”死の商人”戦争に加担をしていって兵器を渡していったりとか
(今回のショッカーは)ちょっとそっちに近い感じもある。

金子

YouTuberみたいな好きなことして稼ぐっていう、そういう人たちに対して、それが人を殺めるから止めなきゃいけない。
そっちの方になってるっていうか。

結果的に大量殺人になっていくし、そういう人たちばっかり出てくるから、それが緑川博士が
「個人のエゴのために使っている」
って言ってる部分かと。

金子

(今回のショッカーは)多分、設立当初は良い組織だったんだろうなっていうイメージなんですよ。

変身忍者嵐の血車党みたいに、いい組織だったはずなのに
化身忍者が悪事を働くようになり、魔人斎が来て狂っちゃった。

だから(主人公の)ハヤテの父親が、この化身術っていうのをいいことに使うために、息子を嵐に生体改造するっていう。
それに近いというか。

浅尾

本当はいい組織だったんでしょうね。
カルトだけど(笑)

山田

石ノ森さんが生きてたら、この映画見て、何て言うんだろうね?

浅尾

生きてらっしゃったら、どう言われるかは、やはり気になりますよね。

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