映画プロデューサー・山田さんの感想
ありがとうございました。
では次に山田さん、お願いします。
物の見方というのは、多面的というか複数の意見があって当然だと思うんですね。
ただ猛烈にそれに惚れ込んでる人にとっては、たとえ話ですが、好きな歌手がちょっと音程が狂っててもあるいは最近声が出なくても、それも含めて「いいんだ好きなんだ」ってなるわけ。
ところがプロの場合は違っていて、
ここ音程狂っちゃったらおかしいでしょ?とか、
あそこは声が出てないよとか、
根本的に歌唱力がやっぱりないとか、
ちゃんと(指摘)するのがプロの見方だと私は思っているわけです。
だからもしこの(映画)業界で働く人がいるとしたら後者のようなの物の見方をしてないと必ずつまずきます。
つまりプロになる人は別に好き嫌いじゃなくて、基本的なものというか、物事の分析にこだわりつつ、長所短所を見てしまう。
それと、ものづくりである限りはやはり設計図が必要なわけで、それは建造物と同じように土台づくりに頭を使い、いろんなメインスタッフからの批判に応えていくと。
(映画製作とは)まず柱というか土台ができて、次に上に乗せる建物を築く。
そして家全体がやっと完成するみたいなことなので。
正直、厳しい
だから、この『シン・仮面ライダー』という作品は、その監督の才能を買ってても
「いやこの作品はここが問題なんだ」と思える人と
反対にその監督に惚れちゃってるために
「いやあれも気持ちがすごく分かるんだ」
という人がいる映画だなというのが僕の見解です。
でもそれって客観的に見る目を失うことになりますね。
誰とは言いませんが、アニメ界で活躍している人、実写で活躍している人、3人くらいに(映画の感想)を聞いてみたんですよ。
正直、厳しかった。
「厳しかった」ですか…
やっぱり物の見方が違いますよ。
業界で食べていってる人の指摘は厳しい。
シナリオ作りだとしたら、
登場人物に感情移入するためにはどうすればいいか?とか
人間と人間が衝突する場合、ただ単に敵と味方ということで対立させるんじゃなくて価値観の対決にしよう、じゃあどうすればいいか?とか
どんでん返しとかひねりみたいなものをどこで入れたほうが効果的か?だとか
そういう経験を積んでいる方々の意見はやはり確かだなと。
(ハリウッドの)『バットマン』とか『スパイダーマン』とか見てもやっぱり1本5000万円くらいの脚本料を取るトップクラスのライターというのは(脚本に)やっぱり知恵を入れてるなと。
彼らは多分単純にこれはこういうものだからとか、ここはオマージュだからいいんだとか、そういう話にはならないよね。
『バットマン』にしても『スパイダーマン』にしても、世界にヒットするタイトルというのは、やっぱり脚本に相当時間をかけて
まず客に感情移入させられるか、対立させる根拠が明確にあるのかどうかとか、そういう所をきちんとやっている。
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