80年代後半生まれ・金子さんの感想
ちょっと振っただけで、こんだけ出てくるという(笑)
実に熱いですね!
続きまして、ライダーのイラストもたくさん描かれておられる金子さんにお聞きしたいと思います。
金子さんはオリジナルの仮面ライダー世代ではないんですよね?
そうですね。
僕は父親が「仮面ライダー」直撃の世代でして。
父は今年66歳なんですが、中学生の時に初めて仮面ライダーを見て「アクションとか怪奇性とかそれまでのヒーロー物と全然違う!」っていうところにハマって、それからずっと見てる。
とにかく「ヒーローといえば仮面ライダー」っていう世代なんですね。
そのころの子供たちはみんなそうでした。
そして僕が生まれた時がちょうどレンタルビデオが出始めた時で、
仮面ライダーも旧1号編とか最初の方のものからリリーズされていて。
あの当時って全話入ってないベストセレクションですよね。
黒いパッケージのVHS。
その1巻を借りてきてくれて。
まあ自分が見たいからなんですけど(笑)
夜、自宅で見てたらしいんですよ。
それが僕がちょうど3歳ぐらいの時で、夜、僕が寝室の襖を開けると、映画館みたいに真っ暗い部屋の中でテレビがついてて、そして画面にあの”蜘蛛男”が出てくるんですよ…
怖い怖い!
そう!めちゃ怖いんですけど、見ちゃう。
気になって見ちゃうんですよね。
その印象が強くて。
本郷、可哀そう…
仮面ライダー直撃世代じゃないんですけど、一番最初に見たのは第1話「怪奇蜘蛛男」なんです。
そこで初めて感じた印象は「本郷猛ってお兄ちゃんかわいそう!」でした。
ほー(っと感心の声)
改造された後に苦しんで叫んだり、電流を流されたり、緑川博士を殺した罪を被せられ、人殺しって罵倒されたり、そういうのばっかりで。
で、物悲しいBGMで終わっていくし、とにかくかわいそう!っていう。
「このお兄ちゃんどうにかしてあげたいな」みたいな。
今回の『シン・仮面ライダー』はその時の子供のころの最初の自分の印象に近かったですね。
「やっぱりこの本郷猛っていうお兄ちゃんかわいそう。どうにかしてあげたい」と。もう全く同じだったんです。
『旧1号』の現代的アップデート
もちろん漫画の要素がものすごく入っているので、テレビっていうよりは漫画の映像化には近いんですけど、随所にテレビの要素が入れてあって。
本当に最初の旧1号編なんですよね。
特に8話「怪異!蜂女」。
蜂女までのところをやりたいんだなっていうのがすごく伝わってきました。
”殺陣”アクションに関しても、大野剣友会がやってる体当たりで泥臭い感じが現代的にアップデートされていましたし。
もともとヒーロー物の殺陣って「仮面ライダー」という番組を立ち上げる時に、何もない所から時代劇のノウハウから転用して1から組み上げていった。
そんな流れだと思うんですよね。
その原点に立ち返って、その創意工夫みたいなものをなぞらないと、本当の新しいものには行きつけない。
原点に立ち返る。
だからドキュメントとか見ると結構試行錯誤されてたみたいですけど、当時の本当に一番最初の方の大野剣友会や東映生田撮影所の出来始めの最初のころ(の殺陣)に立ち返りたいっていう。
そんな思いを感じました。
一番最初のまだ藤岡弘、さんがスーツに入られてた頃の、本当に泥臭い、ハプニングの連続みたいな。
藤岡さんが一本背負いをしてるんだけどちょっとずれてる。
でも受けてる人たちはプロの武道もやってる人たちだから、ずれててもバシバシ受け身取るし、歯を折られても自分の責任だからって。
(旧1号編は)それがすごく映像に出てるんですが、それと同じような事をやろうとしてるなっていうのがすごく感じたことですね。
温故知新、そして継承
CGもすごく多用されてて、確かにその部分は結構CGCGした映像にはなってるんですけど、それはたぶん石ノ森先生の漫画のスピーディさみたいなものを映像化したかったんだろうなと。
僕的には今回の『シン・仮面ライダー』は温故知新であり、継承。
初めて仮面ライダーが登場した時の
「なんだこれ」とか、
「怖い気持ち悪い」とか、
「なんかすごいアクション動く」とか、
そういう最初の印象をアップデートして真っ新なゼロにした状態で伝えたい!っていう事に今回挑戦してるんだなって。
それが伝わったかどうかは人によると思うんですけど、そういう志をすごく感じた作品でしたね。
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