(C)2023 TOHO CO., LTD.
筆:浅尾典彦(夢人塔代表・作家・治療家)
『ゴジラ-1.0』最速レビュー、その3回目。
ラストはストーリー・設定など、未公開情報もりもりで、その魅力をお伝えいたします!
(本文はネタバレを含みます。鑑賞前の方はご注意ください。)
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第2回はこちら (特撮ゼロ編集部)
11月3日、ゴジラの誕生日に遂に公開された新作映画『ゴジラ-1.0』。
圧倒的な迫力と骨太ドラマでぐいぐい引き込まれる本作。
ここでは、その魅力の一部を解説してみたい。
◎ストーリー
太平洋戦争(第二次世界大戦)末期、昭和20年(1945年)の大戸島。
日本軍はゼロ戦の整備基地をここに作っていたが、ゼロ戦パイロットの敷島浩一(神木隆之介)が機体の不調で島に降り立った。
整備を担当していた橘宗作(青木崇高)は、機体に不備はないと敷島に対して不信感を持つ。橘と敷島の間に不穏な空気が流れていた。
そこへ、島の伝説の古生物「ゴジラ」が現れる。
ゴジラは整備基地を破壊し生き残ったのは敷島と橘だけだった。
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やがて戦争は終結し、敷島たちは心に傷を秘めたままそれぞれ復員していった。
戦争に負けた日本はボロボロの状態だった。
周りは焼け野原。家も家族も失った生き残りの日本人たちが、瓦礫(がれき)の中でただ茫然としている。
生きるために食料の奪い合いも始まっていた。
そんな中、敷島は偶然に赤ん坊を抱く大石典子(浜辺美波)と出会った。奇妙な縁で一緒に住むことになった三人。
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全てを失った敷島は実家の跡地にバラック(戦後の仮設住宅)を建てて、隣組でキツイ性格の太田澄子(安藤サクラ)に助けられながらも、つつましやかな、典子たちとの共同生活が始まる。
何処の家も簡素なつくりで、奥には位牌が飾られていた。
生きる為に仕事を求めた敷島は、機関銃の経験を買われて、木っ端船で戦時中にアメリカが無数に撒いた機雷(水中爆弾)の撤去作業に従事する。
水中固定されたワイヤーを切り、浮上した機雷を搭載した機関銃で撃って爆発させる大変危険な仕事なのだ。命の保証はなかった。
船には船長の秋津淸治(佐々木蔵之介)ほか、助手の水島四郎(山田裕貴)、学者とあだ名される野田健治(吉岡秀隆)らが同乗していた。4人はチームとなり次々と機雷を破壊していった。敷島たちの仕事は順調で調子が良かった。
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二年後の1947年になり、少しづつ復興が始まり日本の街並みも落ち着きを見せて来た。
バラックの家も減り、代わって瓦葺きの屋根に改築した家が建ち始めた。やっと人間らしい暮らしが戻り、人々の顔にも笑顔が浮かび始めた。
そんなある日、敷島たちの船は沖合で信じられないものに遭遇する。
海中から突如怪獣が現れたのだ。ゴジラだ!!! 驚いたことに、敷島が大戸島で見た時よりも巨大化している。
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ゴジラは攻撃して来た巡視艇を叩き壊し、今度は必死で逃げる敷島たちの船を追いかけてきた。得意の機関銃で撃ちまくったが全く歯が立たない。
秋津の機転で最後の手段として乗せていた機雷をゴジラの口に投げ込んで、それを爆破させた。ゴジラの顎は吹き飛び「やっつけた!」と思ったが、放射能を帯びたゴジラ細胞はすぐに増殖し、元通りに再生復活してしまった。
敷島たちの船はそのすきに本土に逃げ戻ったが、日本人は「ゴジラ」という大きな悩みを抱える事となった。
もし、こんな弱体化した日本にあの狂暴な未知の生物『ゴジラ』が上陸して来たら?
戦争の終結とともに戦車など兵器は解体、ゼロ戦も壊されまたは海や湖に沈められた。
GHQの命令で軍隊はとっくに解散し、防衛能力は著しく低下していた。
アメリカは日本に手を貸さない、自国で何とかしないといけないのだ。実際にゴジラと遭遇した野田健治博士を中心にして、有識者や元軍人たち心あるものが集まって緊急会議を始める。敷島たちも参加した。だが、それぞれが意見を言い合いまとまらない。
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そんな人の行動をあざ笑うかのように、遂にゴジラは東京湾から日本本土に上陸して来た!
逃げ惑う人間を踏みつぶし、ビルを破壊し、電車を咥えながら東京都心を闊歩するゴジラ。
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このままではやっと立ち直った全てが破壊されてしまう。人の命も、街も、文明も。
どうする日本人!!!
◎ゴジラの生態
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今回の「ゴジラ」は元々大戸島にいる古生物(恐竜)で、出現の予兆として海面に浮き袋が口から飛び出した深海魚の死骸が大量に浮く。
肉食恐竜の特徴を有していて(ゴジラザウルス?)、姿勢が悪く前かがみ、敵を足で踏みつぶす、獲物を噛みついて投げ捨てる、尻尾の一撃で叩きつけるなど、動物特有の行動特徴を持っている。
縄張り意識が強く、動くものを敵とみなし、人であろうとゼロ戦であろうと容赦なく何にでも挑みかかり破壊する。
アメリカがやり続けたビキニ環礁沖の水爆実験の影響で放射能の洗礼を受けゴジラは巨大化し、皮膚はケロイド状背中の突起も大きくなりより狂暴に!
基本姿勢も以前に比べ直立型に近くなっている(電車に噛みつく時は大きく体を曲げる)。
水中を自由に泳ぎ回り行動範囲や縄張りも拡大した。
ゴジラ細胞は放射能の影響で再生能力に優れ、損傷があってもすぐに修復してゆく。
怒りが頂点に達すると、背中の突起状の棘が青く光り脊椎に沿って順番に隆起して、熱線砲(放射能)を口から吐き出す。熱線砲の破壊力はすさまじく小型核弾頭並み、命中した地域は一瞬で爆発しビル群は粉々に倒壊する。
その時、爆風の影響で周辺のものは吹き飛ばされるのだが、その後は陰圧がかかり今度は引き潮のように真逆に強風が流れ吸い込まれる。(爆心地が真空状態になるため)。
すべてが恐怖のゴジラ。まさに怪獣の頂点である。
◎『ゴジラ-1.0』のテーマ
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本作は再生の物語である。
愛のある家族の再生であり、日本の再生であり、日本人としての誇りの再生。
戦争と同等、いやそれ以上の脅威「ゴジラ」に対し、非力な人間たちが集まって知恵と勇気と協調で必死に何とか立ち向かう戦い方は大変日本的でもあり、感動を呼ぶ。
それぞれトラウマを心に秘めたまま、一心にゴジラと向き合う人々。敷島も同様。
戦後になってもずっと戦争を引きずったままの彼の心の中の戦争は果たして終われるのだろうか?
そして、日本人は新しい時代は創ることができるのか?
◎まとめ
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“ゴジラvs.日本人”
これが日本人の戦い方だっ!!
特撮も迫力あり、ドラマも葛藤を見せる骨太で大変山崎貴監督らしい作品でした。戦前と戦後の意識の違いを鑑み、今の日本人の感性にフィットする考え方も挿入されています。
音楽は少ない目に抑えてありますが、「こごぞ!」という時にはちゃんと伊福部昭のテーマがかかります。使用曲は『ゴジラ』『キングコング対ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』。マニアのツボはきっちり押さえているので感動できると思います。
また、ドラマは” 生きる希望”や”家族の絆”がしっかり描かれているので、一般の方でも十分に楽しめると思います。
今回は、多くの皆様に楽しんでいただくため、ストーリー紹介は前半だけに留めています。後半に用意されている凄いアクションシーンも、どう戦うのか?そしてどうなって行くのか?も書かずに置きました。
是非、劇場に足を運んでご自分の眼で確かめてください。
きっと心が震える素晴らしい体験ができると思います。
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