お久しぶりです!
っていきなりなんですが、当ブログ『特撮ヒーロー作戦!』もうすぐリニューアルします!
現在いろいろ作業中なんですが、新たな力にも加わってもらって、
なかなか面白そげな再スタートがきれそうですよん(^o^)
そんで、今日はその予告と言いますか、新サイトで公開予定のコンテンツを先行公開!
今、超イチオシ映画のワクワクレビューをどうぞ〜!
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イマ推し・シネランド(仮)
『呪呪呪 死者をあやつるもの』(2月10日より公開中)
筆:浅尾典彦(夢人塔)
◎イントロダクション
今回から始まったコーナー。
まず最初は 韓国ホラー映画ですよー。略して"Kホラー"。
大ヒット『新感染 ファイナル・エクスプレス』を監督したヨン・サンホ原作・脚本の『呪呪呪 死者をあやつるもの』(2月10日より公開中)。
ヨン・サンホと言えば『新幹線大爆破』のような緊迫感のある"走る列車内での"泣けるゾンビパニック『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)を、『死霊のえじき』Day of the Dead(1985年)のような軍がらみの閉塞的な近未来ゾンビワールド『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2020年)を我々に見せてくれた、売れっ子映像制作者なのだ。
なんたって元気に全力で疾走するゾンビが得意なのだが、今回もめっちゃ元気に走ってくれてます。
出ました100人の"在此矣(ジェチャウィ)"軍団!!
在此矣というのは高麗時代から李氏朝鮮時代初期の韓国の古典『慵斎叢話(ようさいそうわ)』に出てくる伝説上の怪物であり「歩く死体(ウォーキングデッド)」に違いないのだが、手足は黒く動きも不自然。
人の言葉を話す事が出来て、主に生きていた頃の記憶からある程度の知能を保持している、との事。
呪術師に操られるという点では、流行のロメロ系ゾンビではなく、ハイチ・ジャマイカが源流であるブードゥー教によるゾンビのそれに近い。
ベラ・ルゴシ主演の『怪談・恐怖城』White Zombie(1932年)に出てくる悪の呪術師の死せるしもべたちタイプだな。
ただし今回は、韓国の伝承ではなくインドネシアの呪い。
インドネシアは島ごとに宗教が違い、それらが複雑に絡み合った神の国であり、また吸血鬼や幽霊、悪魔など触れてはならない闇のあるディープな国なのだ。
出産時に死亡した女性の霊「ポンティアナック」や日本の「ろくろっ首」のルーツで女の首と内臓だけの悪魔「ペナンガラン」など強烈な奴がオンパレードだ。
話が少しそれたが、本作はインドネシアの呪術師が操る"在此矣(ジェチャウィ)"軍団とそれに立ち向かうジャーナリストと少女呪術師の戦いを描いたアクション・ホラー・エンタテインメントなのだ。
◎ストーリー
韓国の閑静な住宅街で凄惨な殺人事件が発生した。
酒を飲んで帰宅した男が自宅で毒殺されたのだ。
しかも容疑者の死体も被害者の傍らに倒れていて何故か死後3カ月が経過していた。
「死体が毒殺?」謎を呼ぶ事件だった。
一方、独立系ニュースチャンネル「都市探偵」のメインキャスターイム・ジニは、ゲスト出演中のラジオ番組中にリスナーを装った"例の殺人事件の犯人からの電話を受ける。
その男は「事件の真相を話すから」とジニに生中継でインタビューをするよう要求した。
ジニは犯人の要望に応じ生インタビューを敢行するが、男はある製薬会社の役員をを名指しし「殺人事件があと3件起きる」と予告しその場で朽ち果てる。
何とその男は"甦った死体"だったのだ。
死体がメッセージし殺人を起こす?謎は深まるばかりだった。
殺人が予告された日、警察とマスコミの前に現れたのは、強大な呪いによって甦ったゾンビ集団だった。
人間の洪水の様に建物に流れ込む呪いのゾンビ、そして、それを操る影の男とは?
事件の真相にジニは挑むのだが......。
◎解説
監督は『ファイティン!』のキム・ヨンワン。
出演はジャーナリストのイム・ジニに『女は冷たい嘘をつく』のオム・ジウォン、失踪した呪術師ペク・ソジン役は『パラサイト 半地下の家族』のチョン・ジソほか、イム・ジニを護衛するチョン・ソンジュン刑事役のチョン・ムンソン、「都市探偵」の社長キム・ピルソン役はキム・イングォン、民俗学のタク・ジョンフン教授役にコ・ギュピル、クォン・ヘヒョ、オ・ユナ、イ・スルら。謎解きサスペンスであり、アクションホラーでもある。
Netflixで放送された、ジャーナリストのジニと呪術師の少女ソジンが協力して巨悪を暴く物語『謗法〜運命を変える方法〜』(2020年・シリーズ全12話)の続編の位置づけで劇場公開作として完成した。
●『謗法〜運命を変える方法〜』予告編(現在 Netflixで配信中)
◎面白ポイント
ネタバレにならない程度に少しディテールを深堀してみよう。
呪術師。正確には謗法師(ほうぼう)の少女ソジンが出てくる。
謗法師は「人に呪いをかける」術師で、ターゲットの「写真・漢字名・所持品」を集めて儀式を行なう。
ソジンは、前シリーズで失踪していたが実は超能力をパワーアップさせるため、外国で修行をしていた。それが日本の四国と中国の山寺。
日本の四国は「お遍路さんの八十八か所巡り」など霊場が多い事で知られ、まさに神秘の島といっても過言ではないのだが、韓国にもそれが伝わり知られているのは驚きだ。
●ソジン役チョン・ジソ インタビュー動画
如何にもオタクチックなタク・ジョンフン教授も民俗学の知識で助けるが「やっと教授になれたんだよ」などディテールもおもしろい。
土で描かれた文字を何とかして結界を破るシーンは、emeth(真理)という護符の文字を一字を取り去りmeth(死セリ)となって崩壊し土に戻ったユダヤ教の伝承に登場する動く泥人形『巨人ゴーレム』を思い出させる。
先にも書いたが、"在此矣(ジェチャウィ)"軍団の集団行動が異様なパワーですさまじい。
全力で走り人を襲うのは他でもあるので当たり前だが、ジャンプし、車まで運転する。
隊列を組んで「蟻の軍団」の様にすごいパワーで襲いかかる。
死んでいるので撃たれても倒されても信じられない起き方で立ち上がる。
非常階段を一斉に駆け昇るシーンや降りエレベーターで逃げる役員たちに追いつくため、自ら階段から一階に落ちてゆくシーンも異様で恐怖を感じる。
非常階段の上から吹き抜けの空間を使ってぼたぼた死体が落ちてくるのだ。
そして一階の床に山積みになって溜り、また立ち上がって走り出す。
死体なので痛みもなく疲れも知らない。
こんなのに襲われる方はたまったものではないよな。
●"在此矣(ジェチャウィ)"軍団のシーン
カーチェイスのシーンも迫力だ。
逃げた製薬役員の疾走する車両を在此矣(ジェチャウィ)たちの運転する車でぐるりと取り囲み、車から出た在此矣たちがガンガン飛び移ってターゲットの車に群がる。
走りながらなのでハンパない恐ろしさだ。
これCGかと思ったらレールに取り付けられた10台近い車とワイヤーで吊った俳優によるライブ撮影だそうな。
ダイナミックな迫力あるシーンに仕上がっている。
他のアクションシーンもドライブ感があって"ゲーム感覚"で楽しめる作品だ。
もちろんビジュアル効果でアクション、メイクなどVFX・特撮も多用しているぞ。
SNSや生ライブ配信のネット番組など今どきコンテンツをギミックとして入れつつ、インドネシアの呪術や謗法師など古典や諸外国の民俗学も良く調べ製薬会社の犯罪という社会的な角度も押さえたシナリオがなかなか良くできている。
在此矣(ジェチャウィ)たちに立ち向かう謗法師・ソジンも敵を呪い殺す...といってもただ倒すのではなく、呪いのパワーで体を捻りきって惨殺するというダークヒロインぶりが最高。
この冬、一番カッコいい少女ヒーローとも言えるだろう。
ぜひ特撮ヒーローファンにもお勧めしておきたい作品だよ。
●『呪呪呪 死者をあやつるもの』 予告編
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