▼国内初の「妖怪電子博物館」づくりへ 日文研、資料をデータ化(京都新聞)
すこし前の記事ですが、これをよんでちょっと考えることがあったので、いまさらですがまとめておきます(^-^)
何を考えたかというと、”妖怪”と”怪獣”。
この二つになんでこんな大きな差ができたのか…?ということ。
●盛り上がる”妖怪” そして沈滞する”怪獣”
映画「ゲゲゲの鬼太郎」の大ヒット(興行収入20億円超え!)に象徴されるように今だ高い人気をほこる”妖怪”。
鬼太郎というキャラクターに頼らない”妖怪大戦争”もけっこうなスマッシュヒットでしたし、なおかつ今年の夏にはこんなイベントも開かれるようです。
▼妖怪語ろう京の夏 来月、映画村で世界会議 水木さんら参加(京都新聞)
境港などでの妖怪町おこしも大成功のようですし、そして最初の「妖怪電子博物館」。
もう”妖怪”は一つの文化というか学問の域にまで広がっているのですね(もともと民俗学からスタートしたものですから当然といえば当然なのですが)
それに対しての怪獣。
最新の怪獣映画「小さき勇者たち?ガメラ?」興行収入4億。鬼太郎の1/5という惨敗でした。
一部で話題になった韓国製の「グエムル」も日本での興行はさえず…
こと映画市場に関しては、完全に妖怪>怪獣の図式が出来上がっています。
映画以外でも、それは変わらないような気がするのですよ。
何より、メディアでリアルタイムで話題になる妖怪に対し、怪獣の話題はほとんどないというのがGoogleニュースなどで調べてもよくわかります。
(怪獣で検索しても出るのはほとんど”ウルトラマン”関係の話題。怪獣そのものを語る話題はあまり見かけません)
ともに60年代に1次ブームを迎えたという同じような出発点であるのに…
この差はどこから生まれたのでしょう?
●オピニオンリーダーの存在
その差は”リーダー”の存在にあるのではないか?
と個人的には考えます。
そう、妖怪にはその文化・世界観の面白さを語り部となって伝える”
水木しげる”さんがいます。
そして水木さんの傍らには京極夏彦・荒俣宏という人気作家が控え、彼らが中心となる”妖怪文化圏”というものがしっかり存在しているんですよね。
その人たちが中心核となって、たえず妖怪という世界観の面白さを啓蒙し続けている…
それが妖怪の強さであり、「妖怪学会」なんかはその最たるもののように思います。
かたや怪獣。
そこには水木さんのような啓蒙者は存在しません。
かつて60年代の怪獣ブームのころにはいらっしゃったんですよね。
「金城哲夫さん」「大伴昌司さん」
という方々が。
金城さんが生みだす怪獣に大伴さんが世界観をつけて啓蒙する。
その文化に子供たちが熱狂した時代が確かにあった…
リアルタイムでは接していませんが、そのころを描いた書籍をかたっぱしから読んだ私にとって、それは自明なことなのですが、今やその名残はほとんどありません。
ゴジラ亡き今、怪獣とはウルトラマンの付属物としか子供たちには見られていないのではないでしょうか?
怪獣好きであり、妖怪好きでもある私には、その事実がとても寂しく思われます。
金城さん・大伴さん・そして円谷一さんといった人たちがまだご存命で活躍されていたら、また未来は変わったのではないか?
メビウスでテッペイ隊員の本棚にあった本のタイトルを思い出してください。
「世界怪獣図鑑」
「怪獣と民俗学」
「怪獣学概論」
あそこにあった怪獣学みたいな空想面白学問がもっと盛んになっていたのではないか?
とか思ったりもします。
現実に”空想生物学”というのはありますからね。
それの怪獣版が生まれてもおかしくないのではないかと。
妖怪みたいに”怪獣学会”とかね(^-^)
●ウルトラマン>怪獣
そしてさらに妖怪と怪獣の間の差を生んだもう一つの原因は、
あくまで
妖怪>鬼太郎であり、鬼太郎をも含んだ妖怪世界そのものの魅力を語るのを怠らなかった妖怪側に対し、ゴジラ・ウルトラマンというキャラクターに頼りすぎ、怪獣&その世界観の魅力を語るのを怠った怪獣側…
ということがあるように思います。
決して怪獣に魅力がないわけではない。
ただその魅力を伝えるのを怠っているだけで、今の子供たちにも通じる魅力をしっかり有している。
その魅力を見事に換骨奪取し、子供達の人気を勝ち取ったのが”ポケモン”なのではないでしょうか。
ポケモンは怪獣の強さ・怖さではなく愛嬌・可愛さの部分をよりクローズアップしたんだと思います。
それが結果、子供たちに受けた。
でもそれらは元々怪獣たちの持っていた魅力の一部なのですよ。
上の動画を見るたびに、ウルトラマンキッズのころにこの発想が円谷プロから生まれていれば…
と痛切に思います。
そうすれば、ポケモンに代わって、ウルトラ&怪獣が子供たちの間で大人気…とかの未来になっていたのかも(T T)
まあそんなIFの話をしてもしょうがないですが、ようやく怪獣人気を盛り上げることの重要性に送り手側も気づいたらしく、ある試みが始まりました。
それが『大怪獣バトル』ですね。
このタイトルが子供たちの間で根付き、ブームとなり、怪獣復権につながるようなものになることを心から願う次第です(^-^)
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