戦う理由は伝わったのか?
それで結局、仮面ライダーは何のために、何と戦ってると思います?
そのへんが、なんというか…
説得力が足りなかったのかなあ?
もしくは、観客にうまく伝わらなかったら、それはどんな創作意図があろうが、どんな作家の強い思いがあったとしても、空回りというか…
例えば文章で、企画意図はこうですと書いたとしても、映画の中でそれが伝わらなかったらそれは失敗作になってしまうね。
私はたくさんそう経験してきています。
でも何かしらは伝わってるかもしれませんよ。
僕ら大人の世代は、それを聞きたいんです。
若い世代はどう見たかっていうのが欲しいんですよ。
チョウオーグと戦う理由はルリ子さん絡みであるんですよね。
でもその他のオーグメントとなんで戦わなきゃいけないのか?
コウモリオーグにしても、ハチオーグにしても、(戦う理由は)公安に言われたから?
本郷猛についても、(戦う)理由が今一つ伝わってこないような。
本郷猛はルリ子さんを守ろうとしたんじゃないですか。
やっぱ、そういうことなのかな。
でも別にコウモリオーグたちにしても、あれ全部ライダー達の方から押しかけてるわけで向こうから襲ってきてないじゃないですか。
彼らのやってる事は確かに悪い事なんだけど、公安に言われたから行けって、公安の手先になってやってるように見えるのはなんか気になったなあ。
本郷猛の戦う理由
多分本郷猛の視点に立って考えると、緑川博士に「娘を守ってくれ」って言われたのが大きかったんじゃないですか。
映画の中でも「俺は地球を守る」みたいなことは一言も言ってないですよね。
今回の映画は、本郷猛っていう人をヒーローではなく人として描いているので、彼は地球を守ろうとは考えていないんじゃないかな。
イチロー兄さんが本郷にそれっぽい事言ってましたけど、
例えば「本郷がルリコさんに惚れてる」みたいな描写があった方がより分かりやすかったような気もする。
でもそれをやっちゃうと
たぶん「(仮面ライダー)ザ・ファースト」になっちゃう。
そういうことか。
それは庵野さん嫌がりそう(笑)
一例としてね、公安の二人いたじゃない。
橋本忍とか笠原和夫とか他の第一線級の脚本家だったら、あの二人の上手い使い方をもっと考えますよね。
お客をびっくりさせるような使い方を。
要はただ立花と滝と出したってだけじゃなくて、ドラマというか作劇の中で巧妙に使ってほしいじゃない。
そういうものがなかったんで、はっきり言って私はちょっと失望した。
戦う理由も含めて、いい要素は作ったけど、それを第三者に創作的な技法を使って、感情移入させる、共感を呼び起こす作劇の工夫があまり感じれなかった。
オタクのお家訪問
今回の戦いですけど、今までの『仮面ライダー』だと、”世界政府をたくらむ悪の秘密結社が人間を殺しに来たり、毒を流したり、幼稚園バスの中で(爆笑)わるさやったりするんで戦うと。
イデオロギーがシンプルなんですよね。
地球を征服するという悪があって、人類がそれに脅かされるんで、その脅かされてる人類を仮面ライダーが守る。
でも今回の映画はそうではないんですよね。
こっちからわざわざハチオーグのとこ行って「こんにちはー」って言って、「違いました、いったん帰りますとか」(笑)
あの辺とか、何かよく分からへんのですよね。
(ハチオーグの目的は)人類を言うこと聞かせるということだろうけど、みんなで一緒に歩かすだけとかね。
あれで「何がしたかったんやろ?」っていう。
そこをすごく深読みすると”オタクのお家訪問”なんですよ。
「凄い刀マニアの女の子」がいて、そこへ訪問するという。
ハチオーグの実はあれ、『キル・ビル』(へのオマージュ)ですよね(笑)
『キル・ビル』大好きな女の子のところに行ったら、片肌脱いで「あんた友達でしょ」ってやるわけですよね。(片刃脱ぐのは東映のやくざ映画の緋牡お龍などのお姉さん)。
わざわざそのお家訪問に行っている。
コウモリオーグおじさんのラボに、こっちはチョウオーグ兄ちゃん。サソリオーグは、笑ってるだけですぐ死んじゃうし、勿体ない(笑)
僕の予想では、あそこは撮影期間が1日しかなかったんでしょうね(笑)
その点からいうと、タランティーノってやっぱり凄いね
。
個人的趣味の映画を作ってるようだけど、唸らせるよね。
単なるオタクが作ってるんじゃなくて、やっぱり独創的な演出するから、退屈させない。
演出力があるんだろうね。
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