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『シン・仮面ライダー』秘密座談会②

作品を通して見る庵野さんの”心の在りよう”

山本

私、庵野さんのファンで、エヴァンゲリオンのファンでもあるんですね。

エヴァンゲリオンで人類補完計画というのがありますよね。
庵野さんってその頃から
人と分かり合うためにはどうすればいいのか
っていうのを描いていて。

それには多分富野(由悠季)監督の影響があるんだと思うんです。
それも「伝説巨神イデオン」
あのイデが発動するラストですよね。

山本

あれと同じように、人類補完計画では、全員が肉体を捨てて融合してしまうわけですけど、でも主人公のシンジ君は、結局他人と傷ついても分かり合うっていう形を選ぶ。

そして最終的には、もう一回全員が個に別れていくっていうシーンで(旧劇場版の)エヴァンゲリオンは終わるんですけれども、
今回も同じようなハビタット世界っていうのが出てきますよね。

肉体を捨てて全員が魂の状態になるっていう。
私はそれを聞いてやはり人類補完計画を連想しました。

山本

でもエヴァと違うのは、その時にルリコさんが「あれは地獄だった」っていう言葉を言うんですよね。

エヴァンゲリオンの頃はそういうことは多分言ってなくて。

山本

「あれは地獄だから」それは止めなければいけない。
ということで
ショッカーと戦うというより、ハビタット世界を作ろうとするイチロー兄さんを止めようとしている。
だから戦うんだ という風に私には思えて。

山本

仮面ライダーという世界より、

庵野さんの他人との心の在りようを作品を通して見ている

というのがあるんですよね。

山田

ごめんね。それってちょっと気持ち悪くない?(一同笑)

山本

うん。そういう気持ちも分かります。

でも私はそういう自分の素直な気持ちを作品として出しちゃう人って結構好きなんです。

山本

作家さんっていろんなタイプの人がいて、
自分の悩みを、観客が「あーもうそこまでやんなくてもいいよ!」っていうぐらい出してくるタイプの人と、
あまり表面に出さずにきちんと作品として作れる方と2種類いて、
庵野さんはどっちかというと全部出してくるタイプの人だと思う。

浅尾

ボロボロになるタイプですね(笑)

山本

だからどっちかというと、本来そんなメジャーになる人じゃないんじゃないかって、私は思っていて。

だから今は持ち上げられて、メジャーになってやってらっしゃいますけど、本来の自分っていう作品作りの格を変えないから、自分のこう…なんだろう、ゲロみたいなものを全部作品に出してしまう。

私はそのゲロ被るの大好きなんですよね(一同笑)

浅尾

これに反論は?(笑)

Tks

全然大丈夫。
ゲロ被るの大好きって面白いですよね(笑)

山田

作家の村上春樹のファンでハルキストってのがあるけど、そんな感じだね。

ただあまり(作家の)気持ちに入れ込みすぎると、物の本質を見間違えるような気もするけどね。

山田

あと富野さんの名前が出たけど、富野さんも、さすが富野ドラマという凄い作品もある。

でも時々「これは困っちゃうよね」っていうのもあるんだよね(一同笑)

山田

でもこれはもうしょうがない。

幻冬舎の見城(徹)さんが言ってたけど

「作家って物を書かなければ生きてる実感がない人たちだ」と。

そういう人たちなんだから、傑作もあるし、創作的葛藤が空回りしちゃったような作品もあるんだよね。

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