(C)2023 TOHO CO., LTD.
筆:浅尾典彦(夢人塔代表・作家・治療家)
全3回予定で『ゴジラ-1.0』最速レビューをお贈りします。
今回はその第1回目。公開前につき、ネタバレ無しなのでご安心下さい!(特撮ゼロ編集部)
昭和20年(1945年)8 月15 日、過酷を極めた太平洋戦争(第二次世界大戦)は遂に終わりを告げ、敗戦国となった日本。街は瓦礫の山と化し、多くの死傷者が出た。
家族を失い、家を焼け出され、食べるものもなく餓えた人々、「絶望」が日本人たちの心を支配していた。
そんな中でも、人々は心に戦争の傷跡をひきずったまま焼けの原でもう一度立ち上がり、バラックの家を作り、みんなで力を合わせて少しづつ仕事を始めた。
そして、復興が始まりやっと人の暮らしが戻りかけた頃の、1947年の日本に未知の生物『ゴジラ』が上陸したら!?
今まで誰も想像しなかった壮絶な設定を考えついた山崎貴監督。
映画『ゴジラ-1.0』を関西の一回目のマスコミ試写で見せていただいたので、色々感じたことを書いてみたい。
思えば、東宝が製作した水爆大怪獣、または”キング・オブ・ザ・モンスター”『ゴジラ』は、昭和29年(1954年)11月3日に公開された。当時の観客動員数は961万人。空前のヒットとなった。
1954年、大戸島に巣くう伝説の怪物『ゴジラ』が、たび重なる水爆実験の影響で暴れ出し、遂には東京湾から品川へと上陸する。ゴジラの脅威から東京を守るため防衛隊は戦車や戦闘機で応戦するが、口から放射能を吐くゴジラには人間の武器などは全く歯が立たない。
最終手段として芹沢博士の研究していた酸素破壊剤「オキシジェン・デストロイヤー」の使用を決定。最後は芹沢がゴジラとともに海底に没し兵器を発動させ、自らの命と引き換えに何とかゴジラの息の根を止めたのだった…というのが第一作目の『ゴジラ』だった。
ところが、今回の映画『ゴジラ-1.0』のストーリー、時代は昭和20年(1945年)から始まるのだが、舞台の中心となるのはなんと昭和22年(1947年)の東京である。
まだあちこちバラックの家が立ち並び、やっと少しづつ人としての暮らしが戻りはじめ、街も復興が活発になりはじめた頃。そこに、あのゴジラがやって来るのだ!
(C)2023 TOHO CO., LTD.
巨大な水爆の申し子のモンスター。人類の恐怖の権化であるゴジラは人を踏みつぶしながら東京の街を闊歩し、尻尾を振ってビルを簡単に破壊する。まるで、日本人の復興への夢と希望を打ち砕くかのように!!
軍隊は解散し、兵器は解体、ゼロ戦も解体または海や湖に沈められた。自衛隊はまだない!
自衛隊の創立は昭和29年(1954年)。東宝怪獣映画の中で云うところの防衛隊はもちろんない時代なのだ。
当然、「オキシジェン・デストロイヤー」のような超科学兵器などもあり得ない。
アメリカは、敗戦国で今や隷属国家となり下がった小国日本の惨事に手を差し伸べてくれるのか?
派遣されていたマッカーサー率いるGHQは?
戦争でボロボロになった国、やっと生き残った日本人たちが今度はデザーターとも云える怪獣の襲撃を体験する。自国と命を守るため、弱き力を振り絞ってどうやって戦ってゆくのか?
それは、まさに日本人らしい驚くべき手段だった!!
ゴジラ生誕70周年記念作品として制作された映画『ゴジラ-1.0』は、『ゴジラ』シリーズでは37作目であり、日本の『ゴシラ』作品としては30作目にあたる。第一作目の『ゴジラ』(1954年)と同じ11月3日より公開する。
鑑賞前に、出来れば最初の『ゴジラ』(1956) を観ておいてから行くのが超おススメ。観てるとテンションの上がり方が違うハズ!
(第2回に続く)
コメント