いよいよ始まりましたね。
新たなウルトラシリーズの橋頭堡となるのか?!
「ULTRASEVEN X」」。
そのepisode1「DREAM」のレビューお届けします。
いやー、書き上げるのにだいぶ苦労しましたです(苦笑
珍しく批判もだいぶブレンドされていますが、とりあえず素直な感想(^-^)
まずは良かったところから。
●力の入ったアクション
オープニングから、オリジナルセブンのオマージュで始まるのかな…と思いきや、まったく違った導入部。
ウルトラというよりホント「NIGHT HEAD」とかあのへんの深夜SFドラマの雰囲気です。
それはそれで全然OKだと思いました。
新しいものを作るんであればね。
セットデザインも低予算ながらいろいろ工夫されているし、メビウスみたいに加工をほどこしていない生のビデオ撮影(たぶん)もクールな画質が作品世界にマッチしています。
アクション的な見せ場がふんだんにあるのもいいですよね。
冒頭のビル爆破シーン。
エージェントVSエイリアンの生身の格闘。
ビュレットタイム。
そしてセブンXの初登場は
高空から美女と落下しながらの…ジュワッ!(とは言いませんが(笑))
アクションの連続で持っていく構成は、見ている人を飽きさせないものがあって、さすがだなあとか思いました。
そしてそれに続く巨大戦シーンもなかなかイイ!
●特撮カッコイイ!
まずは、ガルキメスの都市破壊シーン。
実写との合成が違和感なくてなかなかカッコイイです。
ミラーマンREFREXでも同様のシーンがありましたが、あれをさらに進めた感じでしょうか。
そしてセブンXとの戦い。
いきなりガルキメスのサマーソルトキック炸裂?!!
「特撮でもバリバリアクションしてます。」
というスーツアクター新上さんの言葉通りのシーン(^-^)
ウルトラの戦闘では私が知ってる限り、初の大技のような。
それに対抗するウルトラセブンXの必殺技”アイスラッガー”。
「当てるだけ? 斬らないの?
という突っ込みもあちらこちらで目にしましたけど(苦笑)、あれはあれでカッコイイと思いますよ(^-^)
ちゃんと怪獣を爆死させてるし、回転する絵も”武器”って感じがしてイイし。
なにより頭に”スチャっ!”と装着するセブンXのポーズが決まっててカッコイイ!
エメリウム光線もしっかり決め技になっているし(最近のセブンはワイドショットばかりでしたもんねー)
この巨大戦は短いけどけっこう充実したものになっていたと思います。
そしてその戦いが終了したあとに気になるこんなカットが…
●”異世界”を感じる印象的なカット
巨人と怪獣の激闘を目の当たりにする人々。
でも何の動揺もなく、「イベント終了?」みたいな感じで、戦闘が終わるとさっさと立ちさる…
実はこのカットが第1話の中で一番印象的な場面でした。
セブンXの舞台である”異世界”。
それが、いろんなファッションや映像が工夫された本編の中のどれよりも、ほんの何気ないこの1カットに感じられたからです。
一見統治されて平和そうだけれど、それは見せかけ。
何者かに人々が洗脳されて、自分たちの意思・感情というものを失っている…
そんな不気味な世界。
そんな意味が感じられて、ちょっと背筋に寒いものを感じました。
「これはなかなかいけるかも…」
盛り上がった私の期待。しかし…
それは見事にぶち壊されます。
そう、セブンX1話で感じた私の不満。
それはストーリーとその語り口に集中しているのです。
●なぜ巨大化?
戦闘の後、政府放送が語る
「彼は我々の救世主なのでしょうか?」
このセリフでさっき感じた不気味なセンスというものがすべてぶち壊し。
あの群衆の無関心はいったいなんだったの?
なにより、突然現れたセブンXをその正体も不明なのに「救世主」とよぶ意図がまったくわからない。
普通ならもう一匹の巨大生物として監視するのが普通なんじゃない?
ホントいうと、まったく何事もなかったかのように黙殺するのがこの世界らしいという気がしますけど…
こんな感じに生じた疑問がその後もどんどん広がっていきます。
「我々はこの星の権力をほぼ掌握した」
こうエイリアンの首領は語ります。
ならなんで巨大化した仲間が街を壊し始めるの?
征服後に街は必要でしょ?
壊したら修復するのは、征服したあなたたちだよ?
そんなことせずに、ただセブンXを撃退すればすむことじゃん!
そしてさらに???なのがラストのジンです。
●納得できないジンの決意
ラストで主人公のジンは「この世界を守ろう」と決意します。
これがあまりに唐突すぎるように感じました。
何のために世界を守ろうとジンが決意したのか?
その思いに全然感情移入できないんですよねー。
たとえば同じ大人向けウルトラということで引き合いに出される「ウルトラマンネクサス」。
あの作品ではそれはしっかり描かれていました。
姫矢も憐も、最初から世界を救うという大命題をしょっていたのではありません。
姫矢は、少女を死なせてしまったという自分の罪の贖罪のため。
憐は限られた命を燃やしつくせる何かを求めていた…
という個人的な理由から戦いをスタートさせるのです。
そこからやがて佐久田さん、瑞生という存在を介して、”守るべきもの”を見つけ、真の使命に目覚める…というのがすごく自然で感情移入できたわけです。
でも、このセブンX第1話はそんなものは全然描かれません。非常に唐突。
このへんが非常に私的には不満です。
映像的には新しくはあるけど、ドラマ的にはなんら今までのウルトラの構図と変わっていない…という気がするんです。
ネクサス第1話のこぶし一撃!のほうがはるかに新しさを感じましたよ!
●うわべだけの新しさ?
そんなの”ウルトラのお約束”だからしょうがないじゃん!
という方もおられるでしょう。
でもでも、この「ウルトラセブンX」は
・ウルトラ初の深夜枠
・大人の鑑賞にもたえられる物に
・恋愛要素もふんだんに入れ新たなファン層も狙う
という前提で始まった作品のはずです。
なにより総監督が
「過去のウルトラシリーズはあまり意識せず、海外ドラマを参考にしている」
と明言されているはず。
なのに、こんなお約束バリバリの粗さが目立つストーリーになってしまうのでしょう。
仮にも大人向けというのなら、映像というか表層の部分だけでなく、根本の部分も変えていかないと…と思うんです。
アクションや映像って部分は確かに大事だけど、それ以上に大事なのは”キャラクターたちの納得できるドラマ”でしょ?
それなしで、一般ユーザーを引きつけようと思ってもソッポ向かれるだけなんじゃないかなあ?。
もしかしてセブンXの”新しさ”ってうわべだけでない?
(爆)
ホントはこんなことを書くのは心苦しいですし、大絶賛したいとこなんです。
ウルトラをずっと応援してきた者としては。
でも嘘は書けない。
映像もストーリーもまったく新しい、”大人向けウルトラ”を見せてくれるものだと大期待していたぶん、より反動が大きかったのでしょうか。
この「ULTRASEVEN X episode1」には失望したというのが正直なところです。
私のこの思いが、最後には大逆転してプラスになっていますように!(^-^)
ps。
あまり批判ばかりではなんなので、最後にちょっとフォローも。
最後のジンの決意についてですが、見返してみて、そのシーンの前に妙なインサートショットが入っていることに気づきました。
花壇に3人の男女がたたづんでいるカットなんですが、それが妙に意味ありげに挿入されているのです。おそらくはジンの過去の記憶…?
それから想像すると、あの瞬間、記憶喪失のジンの脳裏に過去の記憶が一瞬フラッシュバックした。それはどうやらこの世界での出来事らしいとジンは感じ、世界を守るというより、自分の記憶の手掛かりを守るため、とりあえず戦いを決心する…こういうふうに読み取ることもできます。
これなら多少は納得できるかな(^-^)
でもホントにそうだとするとあまりにも説明不足だよね(苦笑)
今後も謎ときとかばかりに注力して、肝心のストーリーが安っぽい…という展開にだけはならないことを願います(まあ太田脚本ならそんなことはないと信用していますけど)
Comments [7]
No.1SOUさん
まだ見る時間が無いのですが、海外ドラマを参考にしてる
となると、1話と2話で説明するという気なんじゃないでしょうか?
で、シーズン制と考えると決意から真の決意へと移行する
世界が見る人にわかってくる、という24よりも
DSIやスーパーナチュラルのような展開かと思います。
つか、昨今の海外ドラマの多くが実は日本やアジアの作品を
手本にしてるところが多いので、逆輸入と考えると
少し失敗かもしれない、と思ったり
No.2T・Nさん
ツバサさん、こんばんは!
おっと、今回はだいぶ辛口ですね。でも、『おい!いくら30分枠でも、これはちょっと唐突過ぎじゃないか?』と思ったのは、あなただけじゃありませんよ。
確かにジンが戦う決意を固めたのはあまりに唐突過ぎますね。ついさっきまで『俺は誰だ?誰なんだ?』と言っていた人間が、1回変身しただけで、もう宿命を背負う決心をするというのは、ちょっと詰め込みすぎだと思います。
それに、やはり『救世主なのでしょうか?』と言うからには、少なくともあの世界の住人にとってエイリアンは脅威の対象のはず。その割には巨大エイリアンが暴れていても、な?んか無関心・・・。どうもしっくり来ません。
でもまぁ、何はともあれ新たなウルトラシリーズが開始されたことは喜ばしいことです。放送局の少なさにキー局のやる気の無さを感じますが、応援していきたいと思います。
No.3giants-55さん
どうしても「ウルトラセブン」と比較してしまいますからあれこれ思ってしまう訳ですが、全く別の作品という事で割り切って見ようかと思っています(笑)。
それと昨日気付いたのですが、今週の放送は特別編成の絡みで15分遅れなんですね。これって前回の放送で告知してましたっけ?結構気付かれていない人が多いのではないかと・・・。
No.4よーくろさん
こんばんは、よーくろです。
気になっていたのはここでしたか…。そう言われてみると確かに唐突ですね。ただ、あのニュースキャスターの言葉が、もしジンの過去・(セブンXの)正体やこの世界の謎に関するヒントの一つだとしたら…何かそれで記事が書けそうな気がしたので、書いてみます。もし書けたら、トラックバックを送ります。
ジンの台詞については、単純に「自分が“救世主”と呼ばれている(それを望まれている)のであれば、それをする事で記憶を戻す事ができるのではないか」と考えたのではないか、と。確かに説明不足ではありますが。
P.S.
三鷹の成田亨展、確かに凄かった&素晴らしかったです。メバも観る事ができました。それから、成田さんの作品だけでなく、高山良策さん・池谷仙克さん、原口智生さんの作品もちょっとだけ展示してありました。
ただ、成田さんの“ウルトラマンの角”(父やタロウの事)に関する話については頷けませんでしたが。確かに最近の防衛隊のライドメカには商業主義の害が出ていますけども。
No.5ZEROさん
どうも!初めて投稿します!
私は、面白いと思います!
私にとって特撮は、面白ければいいんです!
別にそういう唐突さも、いいじゃないですか!
これで、ギャーギャー言っているひとは!
私にとって、人間の器が小さいということ!
No.6南本願寺の青年さん
またまた?ご無沙汰です<(__)>
今更な書き込みですが、とりあえずツバサ様の挙げた不満点に対しての個人的な見解を。
>「彼は我々の救世主なのでしょうか?」
自分としてはこの台詞でこの世界の不気味さが引き立ったと思ってます。
・初っ端から怪しさ全開のアナウンサー(というか街そのもの)
・ガス爆発の報道で示されてる通り、必ずしも真実を伝えていない
・セブンX初登場時の「あれはいったいなんでしょう?」という他人事の様な台詞
といった描写が成された上でのあの報道ですから、上でよーろく様が書き込まれたように、これも謎の一つとして捉えるシーンなんでしょうね。
>ジンの決意
僕も確かにアレでしたが^^;
これは恐らく、今後この世界の在り様に疑問を抱くであろうジンのスタートラインとして、世界の守護者というポジションから始める演出意図からきた台詞なのかもしれませんね。
で、ジンの立場からすると、世界を守りたいと言うより、自分の存在を確かめたいが故にそう決意たのではないか、とちょっと脳内補完。
個人的にはかなり気に入りました・・・が、アイスラッガーはもうちょっとがんばってほしかったなぁ。
No.7南本願寺の青年さん
連投失礼します。
?ちょっと追記ですが、第1話ラスト近くに出てきた3人の男女ですが、あれはジンの記憶と言うよりむしろジンを監視している様に自分には見えました。
1話、2話を見て、この世界は得体の知れない何かを孕んでいるという印象を受けたのですが、もしかしたらセブンXの存在は最初から認識されていたのでは?と考えているのですがどうでしょう?
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